今週のお題「読書の秋」
最近、仕事の方でも文章を書く仕事が舞い込んで、旅を妄想することからも、ブログを書くことからも遠ざかっていました。
読書の秋やし、なんか本でも読もうかなと、私の偏りまくった本棚(ジャンルも本棚も傾いている)から本を探すことにしました。
旅と一緒で、興味のないジャンルには手を出さず、気に入った同じ本を何度も繰り返し読んだり、ジャケ買いをしたりするタイプなのですが、今の気分で読みたいものがあまりありませんでした。
なので、時間をかけずに読めてしまうけど、ずしんと心にくる益田ミリ氏のマンガを読むことにしました。
益田ミリ氏のマンガについて
私が敬愛する大阪の豊中出身の漫画家、益田ミリさん。もう一番好きな漫画家、いや作家です。代表作はおそらく「すーちゃん」シリーズです。
初めて読んだ時はアラサーでしたが、アラフォーになった今も胸に刺さります。
アラサー独身のすーちゃんが、仕事や恋や日常の不条理なことに傷つきながらも生活する話。
そう書くと、どこにでもありそうなマンガのように思えますが、こんなにも響くセリフが書けるなんて(絵は正直誰にでもかけそうなレベルだけどそれもいいんです。)、よっぽど益田ミリさんもやさぐれたハートの持ち主なんだろうと思うと感動します。
大体、「すーちゃん」の続編のタイトルが、
「結婚しなくていいですか。」
「どうしても嫌いな人」とかって攻めてる!斬り込みすぎ!
あのゆるゆるな絵のタッチから想像できない人間のドロドロした感情をあぶり出していると言っても過言ではないです。
エッセイ風の文庫本も出ています。
「今日も怒ってしまいました」「大阪人の胸のうち」とか、こちらもタイトルからしてしびれます。
「すーちゃん」について
私の中で、独身女性のカリスマのような存在だろうと思っていましたが、さっきアマゾンの「すーちゃん」のレビューを見てると時々、「合わない」と言って評価の低い人がちらほら。「暗い」「すーちゃんが『あー疲れた』と言いすぎる」「すーちゃんみたいにならないように反面教師」「読んだ後にさみしくなる」などの感想があり、私と真逆の気持ちになる人がいることに驚きつつも、まあそんなもんやなとも納得。みんなが共感できるような人たちばかりなら、すーちゃんのような人はこの世にいないでしょうし、世の中には「ポジティブで生きていないと罪」というポジティブ教の人が多数存在しています。すーちゃんの存在を簡単に認めるわけにはいかないのでしょう。
仕事帰り、1人でトボトボ歩いて帰り、1人の時に、「疲れたー」としょっちゅう言うすーちゃん。
職場や人前で「疲れたー」と言いまくらないすーちゃんに、私は尊敬する覚えるし、すーちゃんのようになりたいとすら私は思うし、すーちゃんに限らず、益田ミリ氏のマンガは、読んだ後には読む前より少し晴れやかな気持ちになります。
マンガの主人公が「疲れたー」と言うことすら許されない世の中は、なんてせちがらいのか。そりゃ、すーちゃんたちは疲れるわ。こういう主人公がいたっていいなと思っています。
私は、スカッとジャパンを見たぐらいでスカッと出来るような精神構造ではないのですが、すーちゃんを読むと、その名の通り、「スーっとする!」というより、「すー」っと嫌な気持ちが溶けていったり、わかるよすーちゃん…と「すー」っと入っていけたりするなと思っています。
すーちゃん派の私ですが、自分とは違うポジティブ教の人を否定はしません。いろんな人がいるから、多様性を認め合える社会がいいなと益田ミリ氏のマンガから教えてもらっているので。読んだ人が何を感じるかは自由。ただ、私は益田ミリ氏のマンガが大好きで、やさぐれハートの持ち主たちにオススメしたいです。
ちなみに、数年前にすーちゃんが映画化されましたが、柴咲コウや真木よう子が演じていたのにガッカリ。美人すぎます。若い頃の小林聡美ともたいまさことかでいいのに。(あ、でも、昔新大阪駅で見た小林聡美さんは、今まで見た芸能人の中で一番肌が綺麗で美人でした。ギャップベスト1女優です。)
益田ミリのオススメマンガ!
私の大好きなミリ作品を紹介していきます!
すーちゃん
やっぱり一番好きです。すーちゃんも好きだけどその友達の不倫をしているまいちゃんも好きです。「ポジティブポジティブってもううんざり!ポジティブって正解なわけ?!」と家でキレたり。続編が、タイトルに2,3とついていませんが、順番は、
①すーちゃん
②結婚しなくていいですか~すーちゃんの明日
③どうしても嫌いな人~すーちゃんの決心
④すーちゃんの恋
です。お間違えなく。
ほしいものはなんですか?
小学生のちはるちゃんが、自分の専業主婦の母ミナ子さん(40歳)と叔母さんの独身1人暮らしのタエ子さん(35歳)の2人の女性の人生に問いかけていくマンガ。子供から「なりたいものになれなかったの?」「40歳は嫌なの?何が?」と聞かれてちゃんと答えられるのかな。独身タエ子さんとミナ子さんのほしいものがそれぞれを表し過ぎて沁みます。
僕の姉ちゃん
私も長女で弟がいるので個人的にとても共感します。弟のキャラがかなり違いますが、このマンガは、平凡中の平凡男の弟に、姉ちゃんが偉そうにソファーで女を語る話。
男の人からの電話に「今ちょうどほうれん草をゆがいてたところ」とソファーでごろごろしながら言うお姉ちゃんを見て、理解不能な弟とか。お姉ちゃんが結構偉そうに語る姿が好きです。なのに、会社でいやなことがあった弟を察して、コンビニのシュークリームを買ってきてあげて、弟が話し出した上司の愚痴を自分が途中で代弁し、「その上司はあんたの上司でもあり、私の上司でもある」と、どこにでも嫌なやつはいるぞということを励ましながら伝える姉ちゃん。しびれます。
沢村さん家のこんな毎日
父(70歳)、母(69歳)、ひとみさん(40歳)の実家暮らしの日々の話。平均年齢60歳というのに奥深さを感じます。クリスマスイブに何か食べに行こうかと誘ってくるお母さんに、彼氏がいないから気遣われている…と思ってしまうひとみさんですが、意外と自分達が楽しんでいるかのようなお父さんたち。仕事で色々あって疲れて帰ってきたひとみさんに子供の頃に好きだったプッチンプリンを出してくれるお母さん。ジムに通っているお父さんが、若者の靴下が短いことに気づいたり。もう使わなくなった「お母さん」という言葉を、亡くなったおばあちゃんのセーターを手に取り1人でつぶやいてみるお母さん。なんとなくしんみりと沁みるマンガです。
今日の人生
「夏なんか何回でも来ると思ってたけど永遠に来るはずもなく、親がいる夏も永遠ではないのでした…」という話から始まり、恐らく主人公は益田ミリ氏で、仕事のこと、美術館でのこと、電車の中でのことなど、普段の生活のなんてことない話を、「そんな今日の人生」という日々をつづっていくのですが、後半は読んでて涙が出てきました。泣けてきます。こんなシンプルで誰にでもかけそうな絵で、コロッケをテイクアウトする話で、涙があふれてくる、そんな今日の私の人生。
益田ミリ作品は、続編があったり、別の作品の登場人物たちが、脇役的に登場するのも地味に面白いところです。秋の夜長にぜひ読んでみてください。
エッセイは文章も面白いけど、4コマもシンプルで好きです。ふふふ