こんにちは、あられ(@n0riarare)です。
こないだオードリーの若林氏がラジオで、ちょっとしたことを「あの時もっとこう言えば良かった…」と何年間も考え続けてしまうという話をしていました。
その場にいたインパルス板倉氏と数年後にばったり会った時に、何年も前のことを若林氏と同じくまるで昨日のことのように、「こないだごめんね」と板倉氏も言ってきたというエピソードで、人には、些細だと思われるようなことを、ずっと引っかかって考え続けるタイプの人と、春日氏のように全く考えないタイプの人がいるという話を聞き、私は完全に若林タイプだなと思いました。
3年前の、カミーノでのちょっとした会話での私が口にした一言を、ずっと引っかかっていて、今回オランダに行くことになり絶対2人に謝ろうと思っていた話を今日は書きます。
お揃いのリュックの2人
カミーノの巡礼路を歩き始めて数日経ち、すっかり仲良くなり始めていた私とエイファとエリナ。
エイファとエリナは日本の文化や生活のことを色々聞いてきました。
私もオランダのことや仕事のことなどを質問し、英語のリスニング力も乏しいため、6割くらいの理解で会話を進めていました。
不思議とそれでも、この子たちとは気が合うな!っていう確信があり、多分2人もそう思ってくれているような印象もあり、楽しい時間を過ごしていました。
まだまだ序盤でカミーノがどういうものかいまいち掴みかけていない中で、「あなたはどうしてカミーノを歩き始めたの?」と誰かが誰かに聞いて、「実は家族が亡くなって…」とか「悩んでいて仕事を辞めて…」という、かなりプライバシーに踏み込む内容の話題になることが多く、私はまだよく知らない人にそういうことを話せないな…聞けないな…と思い、自分は聞かないように、聞かれたら表向きの「映画で見て興味を持った」とか当たり障りのない会話をするようにしていました。(3年分割で歩いたおかげで後半はそういう会話も受け止められるようにはなっていましたが。)
まだよく知らない誰かのそういう話を聞くのはしんどいなという思いと、
私の英語力では理解しきれないから受け止めきれないかもという思いと、
自分が聞かれたくないことは聞かない、自分がされたくないことはしないという自分のルールがあったので、何となく避けていました。
それ以外にも、
年齢を聞いた上で「結婚してないの?」「子供はいないの?」という質問はよく出てくるものだけど、何となくリスキーな気もして、質問していいものか分からなかった。
「子供を亡くして…」と言う人もいたから聞かれたくない人もいるかも知れないな…なんて考えていたら、頭の中で難問だらけになりました。
誰にも何も聞けないな。
気を遣いすぎるのはどうなんだろう?
でも聞かれたくないこともあるし。
デリカシーがないとかって国によって色々違うだろうな。
でも人と関係を作るには、色々聞いたり答えたりする中で深まっていくのでは?
恐れてたら何も聞けないし相手のことを理解できないのでは?
しかし、聞かれたくないことをズカズカ土足で聞いてくるヤツにはなりたくない…。
うーん、正解が分からない…。
歩きながら時々そういうことを考えつつも、いつも明るく朗らかで仲良しのエイファとエリナとは、私が色々考えなくてもいい、楽に付き合える気がしていて、仲良くなりたくて無意識というか無自覚で色々聞いてしまいました。
「結婚はしてるの?」
「してないよ。あなたは?」
「してない。」
「彼氏はいるの?」
「いないよ」「いないよ」と2人は答えました。
「そうなんだー!一緒!一緒!」
と親近感が湧いたものの、しばらくそういった会話をしつつ、下世話なことを聞いちゃったな…と何となく嫌な気持ちの引っ掛かりが残ってしまいました。
もっと仲良くなって自分から話すまで別に聞かなくていい質問だったなと思ってしまいました。
自分がそういうことを、まだよく知らない人に聞かれるのが好きじゃないってこともあるし、誰にでも聞かれたくないこともあるし、ちょっと変な空気が流れたような気がして、気になってしまいました。
多分、いつでも誰にでもオープンなタイプの人は、こんなことどうってことないし、「彼氏のこと、どんどん聞いてちょーだい!」って人もいるし、そんなことを気にしたら誰にも何も聞けないよ、って思うだろうけど、
私は普段から、「それ今聞く必要ある?」とか「なんでそういう質問をこの関係で踏み込んでくるのかね?」とか腹の中で思っちゃうタイプなので、「相手もそう思ってしまうのでは?」と考えて気をつけるようにしています。
普段はそんな私なのに不躾なことを聞いてしまったなという後悔が日に日に大きくなってしまいました。
明るいオープンマインドな2人なら大丈夫だろうと過信してついついやっちゃったなーと。
もちろん、2人は良い子たちなので、何も気にしていない様子で、それからもどんどん仲良くなっていき、2人と「また絶対会おうね!」と約束してサヨナラし、一足先に日本に帰りました。
そして、帰国してからfacebookで繋がり、2人が私の帰国後もカミーノを歩き続けサンティアゴでゴールをするまでの様子を応援しながら見ていて、鈍感な私がやっと気づいたことがあります。
左がメガネのエリナと右がパワフルなエイファ。
お揃いのペレグリーノルックが素敵。
あれ、この2人、友達じゃなくてカップルなのかも知れないな。
最初は確信はなかったのですが、2人がサンティアゴで寄り添う写真から何となくそんな気がしてきました。
カミーノでのことを思い起こしてみると、なぜか私は、外国人カップルは必ず人前でイチャイチャするものだと思い込んでいたので、同性カップルもそうするはずだろうし、あの2人は全くイチャイチャしていなかったから違うだろう、と思ってみたものの、
「一緒に2人で住んで7年」と言っていたこと、
お揃いではないけど左手の薬指に指輪をしていたことなど思い出し、
何で気づかなかったんだろう?と思うようになり、2人がカップルなんだと確信しました。
そっか、そうなんだ!
カップルで一緒に800km歩いてゴールするなんてもっと素敵だな。
そう思ったものの、私の不躾な質問からいろんな考えが浮かび上がってきました。
同性愛者に対してだけじゃなく、誰に対してもいつもは私から「彼氏はいるの?」なんてくだらないことを聞かないようにしている。聞かれたくない人もいるだろうから。なのに、なんで聞いたんだろう…。
2人が同性愛者じゃなかったとしても、ああいう風に聞いたことを後悔…。
どんな気持ちになったかな?
嘘じゃないけど、返事をごまかさないといけなかった2人はどんな気持ちになったのかな?
オランダは同性愛に理解のある国だし2人はいつでも明るいから気にしてないかも知れない。 それでも、日本人の私があんな聞き方をしたからごまかしちゃったのかな?
ごまかさせて悪かったな。
でもむしろわざわざ私なんかに言う必要もないしな。
そんなこと全然気にしていないかもしれないけど、自分はどうしても気になってしまう。ベストな聞き方じゃなかったな。
同じ聞くなら、「パートナーはいるの?」という聞き方をすべきだったな。
私は同性愛に偏見とか特にないのに、偏見ある人と思われたかな。
偏見はないつもりだったけど先入観があるんだな私。
せっかく仲良くなれたのにな。
仲良くなれたと思ってただけなのかな。
そうだったら残念だな。
嫌な気持ちにさせちゃったかな。
2人のこと大好きなのにな。
こういった後悔や考えが若林氏と同じく、3年間、昨日のことのように引っかかっていました。
これは絶対に2人にまた会って伝えたいし、直接謝りたいなと思っていました。
アムステルダムで3日間、たっぷり過ぎるもてなしをしてもらい、感謝の気持ちを醸造所で伝えた上で、3年前のことで私が引っかかってること、ずっと考えてきたことを伝えました。
まず伝えたのは、会った時からなぜかとても2人と仲良くなりたいと思っていたこと。
そして、私自身が、いきなりズケズケと聞いてくる人が苦手で、他者にもなるべくそうしないようにしようと考えるタイプで、色んなことで、あれで良かったのかなと考え続ける、ちょっと面倒くさい性格であること。
それなのに、英語で聞けることが私の語学力では限られていて、とっさに簡単な英語で聞けることとしてなぜかデリカシー無く「彼氏いるの?」と聞いてしまったこと。
一瞬でも返事に困らせるような質問をしたことを謝りたいと思っていたこと。
そういうことを、ゆっくりと、事前に調べてきた英語で話しながら説明して謝りました。
すると、
「そのことなら覚えてるよ。あなたが、『彼氏がいないの?』と聞いて、私たちが『いない』と答えたら、あなたが『彼氏がいなくても、いつも一緒にいる2人はナイスカップルだね!』と言ってすごい笑ってくれたことを覚えてる。」
「その時から、私たちは2人とも、あなたのことが大好きになったんだよ。だから覚えてる。」
という返答。
「私たちがレズビアンだと知らない人が、冗談でも『ナイスカップル』って言ってくれることなんてなかったから、こんな嬉しいことはなかったよ。」
これは予想してなかった。
そういえばそんなことを私は言った気がする。
もちろん冗談で。
冗談言っといて良かったな、なんていう冗談はさておき。
意外でした。
私が「やり直したいと思って後悔し続けた日」のことは、2人にとっては、「私のことを好きになった日」とされていて、別々のストーリーのようでそのストーリーには続きがあったようで、何とも言えない嬉しい気持ちに上書きされました。
それから、オランダでの同性愛のカップル事情や、2人の将来のことなどを話してくれて、普段話さないようにしている天国にいる私の友の話とかいろんな話を聞いてくれて、それも嬉しかった。
話の途中で、ハイネケンのせいか、私がなぜか泣いてしまって、またまた謝ると、
エイファが
「泣くのはいいことだよ。感情を表現するのもオープンマインドになるのも悪いことじゃないよ。」と優しく言ってくれて、
エリナが
「普段しないことをしても許されるのが旅だよ。旅の終わりは特にOKだよ。笑うのも泣くのも怒るのも旅だよ。」と言って、彼女もちょっと泣きながら、笑い飛ばしてくれました。
そんな今でも、正解は分かりません。
オープンマインドで色々気を遣わずにいくべきか、相手の聞かれたくないだろうことを推測して聞かないようにしていくべきか。
人に対して壁を作るべきなのか、土足で入られることをある程度覚悟するべきか。
言葉の節々に気を配るべきか、言葉を超えたところで人と人は通じ合えると信じるべきか。
私の性格上、色々考えるのは今後も続くはず。
ただ、
分かってもらいたい人に分かってもらおうとすることは大切
ということだけは断言できるようになりました。
そして「旅の終わり+アルコール=涙」という自分の中の方程式も学びました。
ありがとう、エリナとエイファ。