バガンで時々目にしたポコっと出た変な山のポスター。「そこへ集って行こうではないか!」という呼びかけのようでした。半日で行けるようなので、ちょっと行ってみるかと思い、宿の兄ちゃんに聞いてみました。
ポッパ山への行き方
バガンの宿のお兄ちゃんに聞いてみたところ、そこはポッパ山という聖地らしく、ワゴン車を一台シェアして、行く人を募って頭数で割る仕組みのようで、その日の午後から1人分は空いてるとのこと。
5人で割ったら1人800円くらいになるようなので、行ってみることにしました。
ワゴン車は、乗り合いタクシーと呼ばれるもののようで、ゴールデンミャンマーゲストハウスからは私1人の参加、その後、別の宿からアジア人男性1人、欧米男性人3人を拾い、5人で出発しました。
あいのりラブワゴンならモテモテ状態。しかし、1人は無口なアジア人。3人は仲良しイスラエル人で、モテモテ感無し。逆にリラックスして参加できそうで安心。
乗り合いタクシーは、途中、ヤシ酒の蒸留所?のようなところに寄り、1時間半後くらいにポッパ山に到着。
ポッパ山って??
実際に見たら、ビックリするくらいのそこだけ感
ポッパ山(Mount Popa)は、ミャンマーのマンダレー地方域にある玄武岩の火山(標高1518m)で、バガン南東の平原に位置する。 寄生火山の岩頸であるタウン・カラット(標高737m)にはミャンマーの土着信仰であるナッ信仰の総本山があり、多くの参拝客を集める。登山道には多くのみやげ物店があり、また猿が多く生息している。(Wikipedia)
ナッ信仰の総本山とか、よく分からないんですが、ポッパ山の画力に心を奪われて行ってみたい!と思い行くことにしました。
ナッ信仰 (ビルマ語: နတ်、Nat) は、ミャンマーの民間信仰・土着信仰である。「ナッ」は、精霊、魔神、死霊、祖霊などを表す言葉である。ミャンマーにおいては仏教と並存し、混成の民間信仰を形成している。カチン族、カレン族、シャン族、モン族の間にもナッ信仰と類似するアニミズムが存在する。
ナッは人間の目に映らない存在だとされている。ナッは人間の守護霊でありながら、人々が供え物を怠り禁忌を犯した場合には災厄をもたらし、時には気分次第で不幸を呼び寄せる存在として畏怖されている。ナッの種類には家屋や村落の守護霊のほか、親から継承するものも存在する。ナッが支配下に置いている人間から供え物を受け取る関係はサインと呼ばれ、前の世代の人間が結んでいたサインの関係はヨウヤーナッ(血筋によるナッ)として子孫に継承される。(Wikipedia)
読めば読むほど「ナッ」が分からない…。
裸足で猿のふん尿を踏みしめながら階段を登る
ポッパ山の入り口くらいから猿が山ほどいるのに気づきます。
ひと昔前の全盛期の大阪の箕面の滝付近の5倍くらいの猿の多さ。
そして、恐ろしいほどの階段。
麓で靴と靴下を脱ぐよう言われ、裸足で踏み出します。
ベチャ。
「Oh,No!」
イスラエル人が叫ぶ。
イスラエル人3人組の中で一番どんくさいオーランド・ブルーム風ジョニーがさっそく猿のおしっこを踏んでいたのでした。
私がメイドインジャパンのウェットティッシュを一枚差し出すの、丁寧に足裏を拭いていました。 5段くらい登ってまた「Shit!」とジョニー。また一枚ウェットティッシュを。 それを3回くらい繰り返し、結局私はウェットティッシュ全部をあげました。
ジョニーほど、しょっちゅう、おしっこの海に足を突っ込むことはありませんが、下を見て階段を登らないと猿のおしっことフンだらけ。猿たちも「何しにきたん?」って感じでしらけています。
途中で、物乞いのような人が、
「階段を綺麗に掃除しているから寄付してちょうだい」
と言ってきましたが、
いやいやもっとちゃんと拭き掃除しようやー
という若干の苛立ちさえわきます。
おしっこの海に入らないと通れない細い道も出現。もうウェットティッシュで拭く気すらなく足を踏み入れました。 ジョニーだけは、ウンコも踏んでいましたが。
そして、要所要所でいらっしゃるヤクザのような表情の像。ナッ信仰の教祖?組長?分かりません。
かっこいいやろ?ナッ?
そうやって辿り着いた頂上。
高いところから見た景色はどこでも気分がいい
景色(猿越し)を撮影するのに夢中になったジョニーが他の猿にペットボトルを奪われてしまいました。
ほんまにどんくさいなー。
疲れも取れるどんくささ。
猿の親子に煽られたり、道をとおせんぼする振りをされたり、弄ばれ、ジョニーだけは疲労感に潰れかけながら、我々はサクッと下山。
下りは、日本の漫画好きのモーシュとドラゴンボールの話をしながら楽しく降りました。
↑あれは、孫悟空のモデルのハヌマーンでは?!やるなポッパ山。
モーシュはなぜか日本語がペラペラ。イスラエルで学んだらしい。日本語の教科書はドラゴンボールとジブリ。やっぱりジブリは強いです。ちなみにもう1人のイスラエル人(名前が難しすぎて失念。ごめんね。)は、サムライ好き。いやー多いですねサムライファン。クロサワ映画が好きなようです。
聖地の思い出は、結局、猿のおしっこと日本の漫画の素晴らしさを語られたことくらい。
下山してすぐに水道があったのでみんなで仲良くおしっこまみれの足を洗い流しました。
すると、もう1人の無口なアジア人男性も来て小声で「汚ねー」と言いながら洗い流しました。
「ええ?!日本人やったん?!」
とモーシュも私もびっくり。
一言も話をしなかったので、英語も日本語も分からない中国人かなとずっと思っていました。
私が旅先でよくやらかすこと。
それは日本について、主観を入れて適当なことを言うこと。そして、それを日本のことを知っている人に聞かれていること。
「勝手なこと言いやがって」と思われたのでは?と、そういう時は顔が真っ赤になります。 ポッパ山でも、偉そうに、
「ドラゴンボールはすごい人気で主題歌はみんな歌えるよ」とか
「ジブリは確かに人気あるけど私は好きじゃない。そういう人多いよ。」とかを
偉そうに言っている時に、日本人シャイ男性は、私たちの会話が聞こえる距離にずっといました。 よく黙って聞いていたなと思いつつ、「恥ずかしー私。早よ言いーなー。」と少しシャイ男性を恨みました。
まったく、内気にもほどがあるわ。
ポッパ山とラブワゴンのメンバー
イスラエル人と旅
ポッパ山で打ち解けた私たちは、その流れで一杯やることになりました。隠れ日本人シャイ男性も一緒に。
イスラエルと聞いて、前から気になっていたことがあります。
それは、バックパッカーがいる町には必ずイスラエル料理のメニューがあるレストランがあること。
イタリアン、中華に並んでイスラエル料理が並ぶメニューを何度も見たことがあります。
ファラフェルとかフムスとか。それ以外の聞いたことのないメニューを見つけて「これは何?」と聞くと「イスラエル料理だよ」と店員に教えてもらったことも何度もあります。(難しくて名前は覚えていないけど。)
この機会に、イスラエル人3人組にそのことを伝え、「何でかな?」と聞いてみました。
すると、3人ともが答えた共通の理由がありました。
イスラエル人は長期の旅に出る若者がむちゃくちゃ多いってこと。
旅人の多い町には必ずイスラエル人がいる。
だから、レストランはイスラエル料理のメニューを置くんだよ。
とのこと。
何でそんなに旅に出る若者が多いの?と聞くと、
イスラエル人は、男も女も全員、兵役があるんだ。
男は3年、女は2年。
高校を卒業したらみんな徴兵される。
厳しい徴兵が終わったら、まとまったお金と1年くらい自由な時間をもらえるから、大学に入る前に世界一周に行ったりバックパッカーで放浪したりする人が多いんだよ。
と教えてくれました。
細かい兵役の内容なども説明してくれたのですが、英語が難しくてあまり理解できませんでしたが、militaryという単語が飛び交っていました。
世界には、そんな理由で旅をしている人がいるなんて全然知りませんでした。
私と旅する理由が全然違う…。
歴史的な背景も、彼らが、というか彼らの国が背負ってきたものも違う。
徴兵とか兵役と言うと、今は、韓流スターが兵役につくとか言って軍服を着て、たくさんのファンが泣いて、1年後くらいに、スターが兵役を終えて何となく普通に戻ってくるというイメージ。兵役に就いて、具体的に何をしているか、日本人の私にはピンときません。
イスラエルは女性も兵役があるという点で特殊らしいです。男女平等です。
自分が高校を出てすぐに兵役につくことを想像してみようと思ったものの、想像すらできませんでした。
自分が生まれた国が、そういうシステムだからってことで、何の疑問も持たずに納得して、私も行くことができるのかな…。
疑問すら持たないのかな?宿命だと諦める?
私なら絶対断固反対する!と思うんやけど、どうやろ…。
そういうことを考えていると、私という人間のパーソナリティーは、日本に生まれて育ったことで作られた日本人的な部分も多いということを何となく感じました。
そしてまだまだ知らない世界が広がっていること、もっとイスラエルについて知りたいと思いました。
兵役を終えて、世界中に飛んでいき、パーっと飲み歩くイスラエル人バックパッカーたち。
どんな気持ちで旅をするのかな。
シンプルに解放感かな。
兵役を終えて、世界平和についてどう考えるのかな。
世界中を旅しながら世界の色んな面を見ることで色んな価値観を持てて、これからいい世界を作ることに貢献していける人材が、イスラエル人バックパッカーから出てきたらいいなー、
いや日本人も頑張れよ、
というか私もな!
なんてことを、アルコール度数40のヤシ酒をチビチビ飲みながら思った夜でした。
(相変わらず日本人シャイ男性はほぼ無口で、また国籍不明でダウンしていた夜。)