アラフォー女バックパッカーの無敵の旅の話

働きながら、少ない給料と有給休暇をフルに使って旅をしている勝手気ままな女の旅の話。旅で撮った写真もはさみつ

巡礼後。フィステーラ・ムシアへ向かう。カミーノ最後は結局、珍道中になる。

スペインから帰国して3週間経ったのに、ゴールしてから燃え尽きてしまったのか、燃えかすのような、腑抜けのような状態で日本で過ごしています。心はまだカミーノの道にあるような。カミーノのことはまだ少し置いといて、ゴールしてから、バスで向かったフィステーラとムシアのことについて書こうと思います。

 

 

サンティアゴ到着後の日々

サンティアゴに5/7(日)の午前に到着した私達。お昼に巡礼者のミサに出て、ランチからワインを飲み始めて夕方まで。夜は大勢でチャイニーズレストランで祝杯。その後、バルをハシゴしてせっかくのホテル宿泊も深夜に戻って来て、酔いつぶれて寝るのみ。

8日(月)は、久しぶりの寝坊で11時まで寝て大慌てでチェックアウト。キティーたちのいるアルベルゲに移り、大聖堂前で皆んなで座り込んでぼーっと過ごす。音楽を聴いたりスムージーを食べたり髪の毛をバッサリ切ったり。夜はまた大集合で深夜まで飲み続ける。

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そんな時間を過ごすうちに、みんなと別れるのが寂しくて、いつまでもこうしていたい気持ちと、そろそろ1人になって騒がずに静かに巡礼を振り返りたい気持ちとが浮かんできました。

フィステーラまで余分に100km歩こうと思っていたけど、サンティアゴのミサで私の巡礼は終わったという思いに至ったので歩く気はなくなっていましたが、旅のケジメというか区切りとして西の果ての海まで行こうとは決めていました。

他のペレグリーノ達は、休みの短い日本人の私と違って、まだまだ旅する時間がある人が多かったので、フィステーラへすぐ行く気配も無く、「こんなに毎日楽しくパーティーできるならまた800km歩いてもいいわ!」なんてアリソンも言い出すし、800km、1ヶ月間、朝から夕方まで歩き続けたペレグリーノ達は、サンティアゴで沈没しそうなくらいのんびり過ごしていました。

 

フィステーラに1人で旅立つ

 火曜日、そんな風に過ごしながら、ようやく私も、フィステーラには1人で行って、1人でこの旅を締めようと決意し、まだサンティアゴで過ごすアリソンたちにお別れし、何人とハグしたか分からないくらいのお別れのハグを繰り返し、1人バスに乗り込みフィステーラに向かいました。久しぶりの乗り物。久しぶりの1人きりの時間。バスの外は大雨。歩いているペレグリーノ達を見て、まだ歩ける羨ましさも出てくるから不思議。バスは3時間ほどでフィステーラに到着しました。

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ALSAではなくmonbusというバス会社になります。

仲間と再会し結局1人にはならず

フィステーラについて何も情報もなくやって来たので、バスを降りてバス停でもらったアルベルゲのチラシを見て、ここでいいやと思い、 少し歩いてアルベルゲにチェックインしました。4人部屋には2人先客がいたようで、ガラガラの10人部屋を選びました。コリアのおじさんと2人きり。良かったのか悪かったのか。

明日のムシア行きのバスの時間を聞きに入り口に行くと、「Wow!!!」私の名を呼ぶ女子が。

ジュリアが立っていました。

ジュリアも同じようにみんなと離れて1人になりたくて、フィステーラへ一足早くやって来ていたようでした。ブロンドでかわいいジュリアは、1人になりたくて来た割に、ちゃっかりイタリアーノのイケメン、アンドレアと2人で過ごしていました。

「2人で今からビーチでピクニックするの!良かったらおいでよ!3人で楽しもう!」とジュリアは誘ってくれたけど、そこに参入するほどヤボじゃないので、行けたら行くと言いつつ、アンドレアに貸しを作ってやりました。(アンドレアはジュリアを前々から気に入っていたので)

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ロマンチックなピクニックですこと。

そして私は、0kmポイントの海岸まで50分ほど1人で歩き、あぁ、ここが最後かーと1人でしみじみ感じようとしていた矢先に、

「Hey!」また私の名前を呼ぶ男の声が。

昨日、ハグして別れたドイツ人のアレックスでした。厳密に言うと、一昨日もその前も丁寧にお別れをした人です。

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ニックネームはモンチッチ

「もう僕はサンティアゴから去るから」と言っては、「もう会えないね。今までありがとう!連絡とりあおう!」と別れのハグ。なのにアレックスは毎日予定を変更して毎日サンティアゴでバッタリ出会っていました。

フィステーラまで来て「またか?!」と笑けました。「何でここにいるの?」と聞くと、「ポルトガルに行こうと思ってたけど、昨晩出会った人と意気投合して、車をシェアしてフィステーラに行こうってなって車で来たんだ。まさかまた会えるとはね。」と。

フフフ。サンティアゴから100km離れた所に来ても知り合いだらけとは。1人にはなれそうにもないなと思いながら、まぁそれもいいか、と諦めてアレックスと乾杯。

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派手だからどこでも目立つアレックス

「今どこ?晩御飯を一緒に食べよう」というジュリアのメールに「アレックスがいるよ」という返信をし、宿に戻り、なんだかんだで8人くらいで晩餐会。もう無理に1人にならずに、流れに任せようと思いました。

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切った髪を投げ捨てる。

ムシアのバスがない

宿のお姉さんが「ムシア行きのバスは9時」と即答したため、ジュリアもムシアに行くというので、翌朝9時前にバス停へ。アンドレアはサンティアゴに戻ると言うので、3人でお別れのハグをしたもののバスが来ない。バス停前のバルの店員に聞くと「ムシア行きは8:20だし、もう行ったよ。次は11時だよ。」と。

「ええー!!」私は日帰りでムシアからは14:30のバスでサンティアゴに戻るつもりだったので、「時間、無いやん!どうしてくれるんじゃ!」と怒り狂いました。そういう時、私はすぐに何か行動に移すのですが、さすがイタリアーノとアメリカン。

「とりあえず朝食を食べて考えよう」と言い、ゆっくりカフェコンレチェを飲み始めるアンドレアとジュリアでした。呑気やな!私、時間ないねんけど!と思いつつも、私も頭を冷やしてトーストを頼み、作戦会議。

ジュリアが

「ねえ。ヒッチハイクした事ある?私は無いの。2人でやってみない?」と提案。

「おもろいやん。やろう!」と私が即答。

アンドレアが「ここは田舎で車が通らないから国道まで90分ほど歩いた方がいい」と冷静に提案。

「いやそれならバスを待つ…。」と私。

ジュリアがバルの店員に

「ペンと紙をください」と言いに行くと、

「ペンなんか無い」と面倒臭そうに見え見えの嘘をつき、

「何なん!」と悪態を吐くペレグリーノ三人衆。

「ていうか、そもそもあの宿の女主人がいい加減な事言うからやん。責任取ってもらおう!車あったしムシアまで送ってもらおう!」と私が新たな案を提案。

3人同意で宿に戻りました。

CRAZY MAN

女主人に事情を言うとケロッとした顔で、

「違ってた?あ、そう。」てな態度。しばらく「何とかして」と食い下がると、オヤジを呼び、オヤジ登場。昨日、「寒いだろ?」とホットココアをくれたオヤジだったので、「こいつなら大丈夫!いいやつだったし。」と思い、頼むと、「任せておけ!車に乗れ!」と荷物を担いでくれました。安心し、改めてアンドレアとお別れ。私はさっさと先に車に乗って、ジュリアと2人きりのお別れタイムをアンドレアに与える余裕も持ち合わせて、出発。

車が走り出し、「ムシアまでじゃなくてもいい、セーというバスを乗り継がないといけない町まで送ってくれれば、あとはバスに乗るから」と伝えるも、「そんなに遠くないし、1時間くらいだからムシアまで行ってやる!」と言うオヤジ。気が狂いそうなスペイン語の民謡みたいな曲を爆音で流し、猛スピードで走り続けました。ハンドルもむちゃくちゃな切り方。大雨の中、車線とか関係なしのジグザグ運転。気が狂いそうな爆音の曲は延々と同じ曲。「この曲好きなの?」とジュリアが聞くと「大嫌いだ」とオヤジ。車のCDプレイヤーが壊れていてこの曲しか聞けないんだとのこと。消すことも音量を下げることもできないとのこと。そんなことあるかな?と不思議に思いつつ。

このオヤジはスペイン語しか話せないので、ジュリアと私のあやふやなスペイン語の語学力でのコミュニケーションでした。

気が狂いそうな曲は、

「サ、ベスケ〜!サ、ベスケ〜!」(日本語で「知ってるかい?」という意味のスペイン語)がエンドレスリピート。1時間、聞き続けて私たちはぐったりしていきました。

ジュリアが「オヤジの好意でタダだと思うけど、一応チップとして2人で5ユーロくらい渡そう」と言い、着いてから渡すと、オヤジは目の色を変えてお金を表す指を擦るジェスチャーをして、まだ足りないとアピールを始めました。バスなら1.3ユーロやしなぁ…と思ってたら、「タクシーなら20ユーロくらいするぞ」とオヤジが要求。「はぁ?!」と怒りましたが、サベスケの呪文でジュリアが弱っていたので、もう10ユーロ渡し、車を降り扉を思い切り閉めました。

「What a crazy man!」ジュリアが吐き捨てました。私の頭の中は一日中サベスケ〜が流れそうな後遺症が残りました。

ムシアで瞑想

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帰りのバスの時刻をバス停で自分の目で確かめに行き、そこでミランダと再会。クレイジーマンの話をして笑わせてからジュリアと2人で灯台の方まで歩きました。ポンチョを着て大雨の中、海岸まで行き、雨が止んだ頃に、2人でバックパックを放り投げて、手ぶらで海岸の岩場のギリギリまで進みました。2人とも無言で少し離れてそれぞれが岩に座り込み、ずっと海を見続けました。思えば久しぶりに1人きりの時間。波の音と暴風の音だけを聞きながら1時間ほど2人だけど1人きりでぼーっとする時間になりました。サベスケも頭から消え、私の巡礼はちゃんとそこで静かに1人で終えることができました。

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スペインの西の果て。

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ジュリア瞑想中

大雨がまた降り出し、2人で滑る岩場を手を繋ぎながら戻り、風に飛ばされそうになりながら戻りました。2人で最後の巡礼定食を食べ、ジュリアは今までで一番美味しい巡礼定食だったと感動していました。ジュリアは赤ワインで酔ってたのか、「アンドレアが私のことを好きなのはわかってるけど、イギリス人のあの人の方が本当は好きなの」という話をしながら。

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サンティアゴ最後の夜

 帰ろうとするとまた私の名前を呼ぶ男の声。

どこにでも現れるアレックスが再登場。

「サンティアゴ戻るって言うてたやん!」と言うと、「ついでにムシア寄ろうかと今朝急に思って、プラン変更で車を運転してきたよ!」とのこと。「それなら先に言ってよ!その車に乗ってきたかった!」とクレイジーオヤジの話をまた披露した私たちでした。

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アレックスまたいた。

また3時間かけてバスでサンティアゴに戻り、今までのアルベルゲのすぐ近くの別のアルベルゲに入り、ベッドでゆっくりしてると、また私の名前を呼ぶ男の声。今度はアレックスではなく、今朝お別れのハグをしたアンドレアでした。同じ部屋にジュリアもいるよと教えてあげると大喜び。(しかし、ジュリアは君よりイギリス人の方が好きらしいよ、頑張れよと心で思いつつ)

その晩もしっかり大人数で宴会をして(もちろんアレックスも再登場)、サンティアゴの最後の夜は更けて行きました。

途中、こっそり宴会を1人で抜け出し、大聖堂の前に立ち、サンティアゴにお別れをし、翌朝ポルトガルへ本当に1人で向かいました。

最後に一緒に過ごしたジュリアは、一緒に楽しめる子で、かつ、ちゃんと1人にもしてくれる子で、一緒に過ごせて良かったなと思いました。今でも時々サベスケ〜が頭を回る時に、ジュリアを思い出します。

 

カミーノを歩くペレグリーノは、

ほとんどが、1人でアドベンチャーな旅をしている人たちの集まりなので、

束縛し合わない、

個人を尊重する、

自分の行動を制限するような固い約束はしない(これは結構重要。「明日一緒にコレしよう」という約束が旅先で重荷になる。思いつきや偶然の出会いとかで行動しがちな1人旅では、約束が邪魔になることも。)

その時の自分の感情を最優先、

だけど出会いを大切にする、

一緒にいる時はとことん楽しむ

ということを大事にしている人たちだったので、集団でいる時も1人旅と同じように楽しめました。

ありがとう。みんな。

 

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右端のジュリア。アンドレアが惚れるのも分かる。

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1人で見た最後の夜のカテドラル。月が綺麗でした。

 

 注意:

フィステーラとムシアのバスの時刻は、宿の主人に聞かずに時刻表で確認しましょう。

フィステーラからムシアのバスは、セー(cee)という街でバスを乗り換えるので、ムシア行きのバスを探しても直行便は見つかりません。

フィステーラからセー行きのバスに乗ってください。

 

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