今回のカミーノの旅で、やるせない思いになったベスト1の出来事です。
ミサのあの曲
サンティアゴ大聖堂でのミサのある聖歌が、えげつないほど心に突き刺さり感動の嵐だった私。あの心に響く壮大なバラードのことが忘れられませんでした。
スペイン巡礼。ついに到着。サンティアゴデコンポステーラ大聖堂のミサでの話。 - アラフォー女バックパッカーの無敵の旅の話
翌日に、写真を撮りにだけ大聖堂に入ったら、また夜のミサをしていて、あの曲が始まった途端に写真を撮れなくなり歩けなくなり、涙が溢れてきました。
何や、この状況?!条件反射か?
最後まで聞いて大聖堂を後にし、ディナーの時にペレグリーノ仲間にその話をすると、ジュリアやアレックスに
「そんなにあの曲が心に響いたのなら、CD買えば?オフィシャルショップにミサで歌った歌のアルバム売ってるよ」と勧められ、
CD売ってるのか!買おう!買って帰国して聞くたびにカミーノの旅を思い返せれる!
と思い、カテドラル併設のオフィシャルショップに駆け込みました。
宝物となるCDをゲット!
確かにレジ横にCDが何種類も売っていました。CDは全てスペイン語で、ジャケットは大聖堂やシスターの写真。「capilla」(教会)「música」(音楽)など少し分かるスペイン語から読み取るに、ミサの曲が収録されてる!と心踊り、店員のお姉さんに声をかけました。
「昨日のミサでかかってた歌が入っているCDはありますか?」と英語で尋ねました。
お姉さんは即答で、
「コレとコレよ」と2枚のCDを指差しました。
一応、片言のスペイン語で再度確認しても、
「コレとコレよ」と自信満々に言うので、CDの裏を見て、曲数の多い方を選び、買いました。
わーい!帰国後の楽しみができた。このCDは私のカミーノの思い出が詰まった宝物になる!と感激。
そんな宝物を、その後、ジュリア達とバルで合流して赤ワインを飲み過ぎて置き忘れて帰るという事態に。翌日、気づいて取りに戻ると、ちゃんと預かってくれていたので助かりました。宝物の割に雑に扱う自分に自己嫌悪。反省し、大切にバックパックに入れて、無事日本に持ち帰りました。
帰国後、開封の儀
帰国してワクワク、ドキドキしながらCDを開封しました。
どうしよう、あの曲を聴いてまた涙が止まらなくなったら…
どうしよう、あの曲を聴いてももう何の感動もなかったら…。
そんなことを思いつつ、PCを立ち上げ、CDを入れて再生。
え?!
笑けるくらいの別物。
パイプオルガンだけが「ファー、ファー」と延々鳴り響いている。
歌はどうした?
おいおい!このCDだけは頼む!(地図が帰国後開封したら別物だった事件もあり。)
次の曲こそは!
次の曲こそは!
最後こそは!!!!
という願い虚しく、あの曲は流れずにCDは終わりました。
このCDは、ただのパイプオルガンの曲集でした。(「ただの」は失礼でしたね。でもそれくらい裏切られた気分)
絶望の先に…
しばらくうなだれました。パイプオルガンの音が嫌いになりそうでした。
その後に、あのオフィシャルショップの女店員に並々ならぬ恨み、怒りが募りました。カミーノの巡礼で心穏やかになって帰ってきたはずの私が、殺意すら湧きました。800km歩いてミサで感動の大号泣をしたとしても、人は変わりませんね。
「あの女、いい加減な仕事しやがって!どーしてくれんねん!このCDなんぼしたと思って!」などという嫌な思いでいっぱいになりました。
イカン、イカン…。カミーノのミサを思い出し心を鎮めます。
そして、なおさらあの曲への想いが募りました。曲名も分からないあの曲を、もう2度と聴くことはできないのかなと。
いつかまたサンティアゴに行ってミサに出ても、もうあの曲を忘れてるかもしれないし、感動も薄れていて、聴いても思い出せないかもしれないし。
今は断片的に記憶に残っているけど、忘れてしまうのも時間の問題かも知れないあの曲。
諦めきれなさ過ぎて色々考え、カミーノを3回に分けて歩き通した女の、一曲に対する執念を胸に、泣き寝入りせずに行動に出ることにしました。
続く