アラフォー女バックパッカーの無敵の旅の話

働きながら、少ない給料と有給休暇をフルに使って旅をしている勝手気ままな女の旅の話。旅で撮った写真もはさみつ

スペイン巡礼。ついに到着。サンティアゴデコンポステーラ大聖堂のミサでの話。

 カミーノ最後の朝日

スペイン巡礼。サンティアゴ到着前夜。モンテドゴソは本当に歓喜の丘だった。オルッホで泥酔パーティー - アラフォー女バックパッカーの無敵の旅の話←この日の続きです。

酔っ払って気絶に近い状態で寝た私。

今朝は8時起きでも十分間に合うのに、何故か早朝に目が覚め(深酒した日は早起きしがち体質)、トイレをしに外に出るとビックリ。

アダムがもう起きて外にいて、おはようよりも先に「Look up to the sky.」と言い、見上げると、こんなにも綺麗な朝焼け。2日酔いの頭に沁みてきて、2人でしばらく黙って見続けました。

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 まじでGOOD MORNING!

「今日サンティアゴに着くけど、どんな気分?」とアダムに聞かれ、「まだお酒が残っててフラフラする」と答えつつ、最後の身支度にとりかかりました。最終日なのに、顔は浮腫んでいて頭も痛く、コンディションは最悪。「今日歩くの5kmで良かったー」と心底思っていました。(そもそも5kmだから飲みすぎたわけで、もっと歩くことになってたらあんなに飲んでいないけど。)

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 私たちの泊まったアルベルゲの離れの一室

最後のあっという間の5km

「みんなより歩くのが遅いから先行くね。See you sooner!」と言い出発するも、2日酔いのせいか、モンテドゴソの街を出れずに迷ってグルグル。結局、しばらくして7人と合流し一緒にラスト5kmを歩くことにしました。(初めからそうすれば良かったと反省)

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 アリソンと私は6人からだいぶ遅れをとりながら歩く

5kmって、ゆっくり止まりながら喋りながら歩いて1時間ちょっと。コーヒータイムを挟み、その後も、サンティアゴの町の入り口のパン屋でファーギーが巨大クロワッサンを8個買ってきてくれて、みんなで食べながらちんたらと進みます。これまでの私のカミーノぽくない進み方。サンティアゴの町に入ってからはどんどんペレグリーノが合流していきながら、最終日はあっという間に到着してしまいました。

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モンテドゴソから我が軍を率いたリーダーのファーギー

感動ゼロでサンティアゴ到着…

まだどちらかと言うと、寝ぼけていて2日酔い気分のまま、あっという間に到着してしまい、そんな自分に少し失望…。

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改装中の大聖堂とハジけるアリソンと倒れこむ私

 

ここ数日、ペレグリーノたちと話していたのが、どこで泣くか、いつ泣くか問題。

マリなんかは、「もう最後の日は泣きながら歩く!大聖堂が見えたら泣いちゃう!涙で見えないかも。」と言いながら泣きそうになってたり。

巡礼を歩いた証明書(コンポステーラ)を大聖堂近くの事務所で渡されるんですが、「コンポステーラを手にしたら泣く」と言う人も。

私は、その話題の時にいつも

「私は感動して泣くというタイプじゃないし、そもそも、人前で泣かないし。静かに心の中で感動すると思う。」と答えていました。

 

それにしたって、2日酔いでだるい気分でゴールするなんて最低やな私…と反省。

こんな感じのゴール?情けなさすぎる…

ごめん、2年前の、スタート地点の私、

ごめん、昨年の、汗を流して必死で歩いた私、

ごめん、寒さで震えながら死にものぐるいで山越えした先週の私。

まあ、現実こんなもんか…と諦め、感動のゴールとか白々しいし、800km歩いてきた1日1日に意味があるんや!と思い直し、巡礼事務所でクールに名前を伝えてフルネームを証明書に書いてもらい、さらっと受け取りました。

私の隣の列の人は、窓口の女性が何故か名前に余計にmをつける人で、アダムが「Adamm」ミランダが「Mirandam」と書かれ、「アダムム」「ミランダム」と言ってその後もしばらく爆笑。真剣味に欠ける証明書授与タイムでした。

巡礼者のミサ

昼の12時からのミサにみんなで出ることにし、一旦解散し荷物を宿に置いて11時半に大聖堂入り口で再集合。

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ファーギーが隣をとっててくれそこに着席。ミサが始まる直前まで、後ろの席の二列が巡礼者ではない日本人ツアーのおば様集団でペチャクチャおしゃべりがひどい。(案の定、大阪弁やし)

ファーギーが怪訝そうな顔をして「チッ、後ろのチャイニーズ、うるさい」と私に耳打ちしてきたので、「ごめん、彼女たちは日本人」と答え、ファーギーのGOサインと同時に、私は振り返り「シー!」と力強く伝えました。(おば様連中は日本人の巡礼者である私にビックリしてましたが、よほど怖かったのかそれからは最後まで喋りませんでした。)

ファーギー姐さんが「ボタフメイロ、今日やりそうよ。そんな感じがする。ワクワクする。」と小声で言い12時にミサが始まりました。

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聖歌の魔力

スペイン語(ラテン語?)でミサが始まりました。今日到着した巡礼者の国籍と人数?が粛々と発表されます。ハポン(ジャパン)も呼ばれましたが、お恥ずかしながら、睡魔と闘っていた私。本気で罰当たりすぎました。

静けさと、よく分からない言語と静かな歌声の環境に、普段8時間睡眠の人間が寝不足の状態で、なおかつ2日酔いの状態で、起き続けるのも至難の技。いや、こういうシチュエーションで絶対に寝てはならぬ!と闘っても、まぶたが、まぶたが〜。これまでカミーノで様々な煩悩と闘ってきましたが、まさか最後の煩悩が睡魔とは…。勝ち目がない。

別の意味で泣きそうになりながら、何とか耐え、もはや、「早くミサ終わって…」とまで思ってしまった私。最低です。大事な場面でよくヘマをする私ですが、これは最低すぎました。

そんな中、3,4曲目だったと思うのですが、シスターが新しい歌を歌い始めました。

とても美しいメロディーで、それまでの半寝状態が嘘のように目が覚め、Aメロが終わりBメロあたりで自分でもよく分からないことになりました。(クリスチャンではないので無知なため、賛美歌だか聖歌だかは分かりません。そしてAメロとか言わないんだと思いますが、壮大なバラードと捉えました。)

突然、涙が、ポロポロこぼれ始め、サビのあたりで、ドバーッと信じられないくらい出てきました。

美しい歌声で、これまでのカミーノでの辛かったことや楽しかったこと、出会った人の顔とか道とかがぶわーっと出てきました。

2年前にしろ、昨年にしろ、昨日にしろ、カミーノで出会った全員が、ここに辿り着いて、ここで、このミサに出たんだなと思うと、今日ようやく一緒にゴールできたような気持ちになり、そんなことを考えるとますます、泣けてきて、鼻水も止まらなくなりました。

じゅるじゅる鼻水を言わしてると、ファーギーがビックリして二度見。「何故今?」という顔。

「まだミサが始まって30分も経ってないし。フィナーレじゃないし。いや、早すぎる!」という顔つき。

止められなくなってヒックヒックなり出し、多分後列の大阪のおば様達もビックリしていたことでしょう。ファーギーが隣のアダムに耳打ち、アダムがその隣のアリソンへ、そしてその前列、そして隣のアレックスに情報が届き、アレックスがカバンからポケットティッシュを出し、逆ルートを辿って、ファーギーからポケットティッシュが手渡されました。

ファーギーがとても優しく背中をさすってくれ、余計に嗚咽に近い泣き方になりました。

何とか抑えて、歌に集中すると歌に感動してまた泣ける、泣くのを堪えて歌を聴くとまた泣けるのエンドレスリピート。私の涙腺と思い出の海馬をダイレクトに突き刺す音階と声に、その聖歌の間は泣きっぱなしでした。

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その歌が終わると嘘のようにおさまり、浄化されたようなとてもスッキリと晴れやかな気分。もちろん眠気なんて微塵もなくなりました。

ファーギーが泣き出した頃にはすっかり私の涙は出なくなり、ポケットティッシュを渡し返しました。(早々にすっかり泣き止んだ私のことが、ファーギーには意味不明だったようですが。)

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その後、30分以上ミサは続き、最後の最後にボタフメイロと呼ばれる天井から吊るされた巨大な香炉が振り子のように振られる儀式が執り行われました。特別な日にしか行われないという儀式に立ち会えた感動に涙する人も多かったですが、私は前半に泣きすぎた疲れで、泣かずに静かに厳かに見ることができ、元の自称クールな私に戻っていました。カテドラルが美しくて不思議と安心できる空気。早くミサ終わって…と思った罰当たりな私は姿を消し、いつまでもここに座っていたい…と思わせる大聖堂でした。

特別な日にしかしない儀式、ボタフメイロ!アレックス撮影

あぁ、これで私の2015年から始めた800km歩くカミーノが、巡礼が、旅が、ここで終わったなという思いでいっぱいになり、今までに感じたことのない達成感で溢れてました。今までの人生で800kmの散歩を達成したことがなかったから当然と言えば当然ですが。

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晴れ晴れした気持ちで、笑顔で大聖堂を出ました。

マリは意外と泣いておらず、クールなデカパンキティーが泣いたという事態。不思議なもんです。

「(私が)あのタイミングであんなに泣くなんて」と仲間におちょくられつつ、私のカミーノデサンティアゴ、800kmの巡礼旅は、2016年5月7日、こうして幕を下ろしました。

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