アラフォー女バックパッカーの無敵の旅の話

働きながら、少ない給料と有給休暇をフルに使って旅をしている勝手気ままな女の旅の話。旅で撮った写真もはさみつ

【カミーノで知り合った旅人の話】唯一の中国人巡礼者ジェーンが世界を旅する意味。人種って?(熊野古道をどう伝えるか問題①)

こんにちは、あられ(@n0riarare)です。

今年は、熊野古道の大銀杏の木を見に行けず、残念やなーと思っていたところ、ある人物からメールで「熊野古道についての5つの質問」が送られてきました。

その質問にちゃんと答えるためにしっかり調べてみようと思っているのですが、せっかくなので、まずはその質問をしてきた旅仲間についての紹介を。

そして、その子と出会ったことがきっかけで考えた人種の問題について書こうと思います。

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唯一の中国人巡礼者ジェーン

私が2015年からカミーノを3年越しで歩いてきて(詳しくはこちら→スペイン巡礼① カミーノ・デ・サンティアゴのススメ)、初めて出会った中国人のペレグリーノ、ジェーン。

カミーノを歩いたことのある人はお気づきでしょうが、「アジア人ペレグリーノと言えば韓国人!」というくらい、韓国人が多いです。

日本人も少数ながらいますが、中国人でカミーノを歩いている人に、1年目も2年目も出会ったことがありませんでした。

世界中、どこに行ったって、団体でいて目立つ中国人。むしろ、観光地で、中国人に出会わなかったことがありません。

 

余談ですが、私はどこへ行っても中国人に間違えられます。「ニーハオ!」と必ず言われます。

友達と韓国を歩いてても、友達には「コンニチハ」、私には「ニーハオ」です。

最近は、大阪の心斎橋でも「ニーハオ」です。

「おい!大阪は私の庭やぞ!」と怒りを押さえつつ。多分、曖昧なスマイルをせず、髪が黒くてバッチリメイクをしていないせいだと、自己分析しています。(本当のところ、なんでやろか?)

なので、カミーノに中国人がいないことと、私を見て「ニーハオ!」と言う人がいないことに不思議やなーと巡礼の道を歩きながら思っていました。

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寒かったーオセブレイロ

2017年のカミーノで、オセブレイロ峠を越えて下っていた時、見慣れないアジア人の女の子が後ろからやって来ました。

ヨーロピアンのおじさんと2人で並んで赤いジャージを着て颯爽と歩いています。つるんでないから韓国人ぽくもないし、日本人かな?いや、日本人はもう少しアウトドアブランドの服で身を包んでるし…。

国籍不明な雰囲気だったので、同じバルで休憩することになった時に、話しかけてみました。

すると、「Chinese!」と言うからびっくり。

彼女はジェーンといい、四川出身で、世界中を1人で旅してる途中にスペインに立ち寄り、カミーノの存在を知って、歩き始めてるとのこと。

しぼりたてのオレンジジュースのグランデサイズで乾杯して、お互いの話をしました。

(ここで飲んだオレンジジュースが一番美味だった!ガリシア州に入ってから、西に進むごとにオレンジジュースが酸っぱくなり高くなるので注意!カミーノでむさぼり食ったフルーツの話 )

中国人の旅人から見た中国人旅行者

それから、時々顔を合わせ、ポルトマリンという街で、シンガポール人のマーカスとジェーンと私の3人で一部屋のアルベルゲに泊まることになりました。

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ジェーンとマーカス

マーカスと3人で、生ハム味のプリングルスを食べながらダラダラと部屋でお喋りした夜は、何となく後半のカミーノで思い出に残る夜ベスト3に入るような気がします。

(ベスト1は間違いなくモンテドゴソ。スペイン巡礼。サンティアゴ到着前夜。オルッホで泥酔パーティー)

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そこで話したことで印象的だったことが、中国人旅行者の話。

ジェーンとはすっかり打ち解けていたので、思い切って、前々から私が気になっていたことを聞きました。

まずは、

中国人ってことでヨーロッパを旅して嫌な目にあったことない?ということ。

初めてジェーンに会った時に、一緒にいたヨーロピアンのおじさんが、バルのおじさんに「彼女は中国人だよ」と声をひそめて嫌な顔つきでヒソヒソ話していたのが私はずっと引っかかっていたので。

シンガポール人のマーカスは中華系で、

「中国人と思われるのがとても嫌だ」と言っていましたが、

ジェーンは、

「気にしてないよ。」と返答。

そう、ジェーンはボーッとした感じのクールさが魅力なのです。クールな人ってキビキビしてそうだけど、ちょっとぽわーんとしている。キツくない雰囲気。なのに、他人なんか関係ない!っていう強い意志もあって不思議。

ジェーンは、

「世界の色んな国を見たいから旅してる。中国人ということをそんなに意識してない。」

と笑いながら言いました。

「ただ、困るのは、旅先で出来た海外の友だちに、こう言わないといけない時。

I’m sorry...

No Facebook!

No Instagram!

No Twitter!

なるほど。

中国は規制されてて、ネットが自由に使えないから、ジェーンもSNSは使っていなくて、連絡のやりとりがメールのみ。

そう言うと、相手にびっくりされ、少し疎外感を感じるらしいです。

ひと昔前はメールだけが当然だったけどね。

ジェーンの面白いところは、自分ではSNSはできないし中国で見れない代わりに、旅先で知り合った人のinstagramなどによく登場して、いろんな国を背景に爪あとを残しているところ。

謎のアジア人美女的な感じで気取って。

さすがです。 (中国でも、何とか隠れてアカウントを持つ裏ワザがあるみたいですが、面倒だし、そこまでしてやることもないと思っているようです。)

ジェーンがあちこちで残している爪あと(モロッコ編)↓

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いやー、カミーノとは別人のように気取ってます…

そして、もう一つの質問を聞いてみました。

世界中、どこにでも中国人はいるのに、なぜカミーノにはあなたしかいないの?と。 この質問には、即座にこう答えました。 「800kmもただ歩くなんて、ハードなこと、中国人はするはずないよ。しんどいことは、観光にならない。みんな、観光バスでビューンと一気にサンティアゴまで行くんじゃない?歩こうとするクレイジーな中国人は私くらいよ。」と。

「あ、でも私も時間が無かったのと、退屈だったからっていう理由で、メセタのパート(ブルゴス、レオンあたり)は、バスに乗って一気に飛ばしたよ。」

と付け加えて笑っていました。

なるほど。

しんどいことは、今のところ中国人旅行者にとって関心がないのか。

20代のたった1人の変わったバックパッカー中国人女性の意見ではあるけど、何となく説得力がありました。

真偽は分からないものの、私が常日頃感じていた疑問を2つ、直接中国人に聞けたことは良かったです。

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ポルトマリンの街の入口の階段でくたばりかけの私に「ガンバレ!Ganbare!」と2人がずっと応援してくれたこと、すごく嬉しかったなー。

旅先での人種差別

正直、中国人旅行者が苦手な私。

どの観光地でも団体で騒がしくて、うんざりすることもあります。

中国の北京、上海など旅した時に、現地の人のまくし立てる中国語や、マナーの悪さなどを見て嫌な思いをしたこともあります。

 

パリのシャルルドゴール空港でこんなことがありました。

中国国際航空の乗り場付近のショップで水とお菓子を買った時、店員が露骨に嫌な顔をして、雑に商品を扱われました。

まあ、フランス人ってこんな感じかと思ってレジ前でお金を出していると、何故気づいたのか分からないのですが、 「Are you Japanese ?」と小声で聞いてきたのです。

イエスと私が言うと、手のひらを返すようにニコニコして、

「I’m sorry.中国人かと思ったからさ!」

と当たり前のように言われました。

空港の職員でさえ、ここまで露骨に差別するんや…とびっくりしました。

ドミトリー(バックパッカー御用達の「ドミトリー」って何?)で、ガラガラに空いてるのに、日本人も韓国人も中国人も、アジア人だけで端の一室に固められてしまうということもよくあります。

抗議して空いてる部屋に移してほしいと伝えると、嫌々チェンジしてもらったこともありました。

「もしかして今の対応って日本人やから?」と思うことがよくありますが、何でもかんでも人種差別やと決めつけないようにスルーしています。あまりに不条理な時は抗議しますが。

ジェーンみたいに「気にしてない」と言い切れる強いハートと、流せる懐の深さが必要ですね。

中国人ジェーンが教えてくれたこと

「みんなそうだ」「あそこの国の人はこうだ」など、全員を知ってるわけでもないのに、主語を大きくする人が私は苦手です。だけど、そういう人が苦手なくせに、私もよくやりがちです。「日本人って〇〇やで」とか言いがち。自分はマジョリティーではないと分かった上で。これが私自身の難しいところ。

少ないデータで国全体を語るのはやはり良くないんですが、イメージというものが確立されてる場合、それを覆すのは少数のデータのような気がしています。

例えば、「フランス人はみんなオシャレ」という広く信じられているイメージを、たった1人のダサいフランス人と出会うことで、「みんなってわけじゃないなー」と打ち破ってくれたり。

「中国人はみんな自己中心的」というイメージをジェーンが覆してくれたり。

旅をしながら、異国を見て、やっぱりそうか…と確認作業をすることよりも、イメージが変わる瞬間の方に私は面白さを感じます。

予想を覆してくる感じがオモロイ。

特にインドはその連続だから好きなのかも。

また、いろんな意味でオモロくて素敵な人たちと旅で知り合って、その人の国自体丸ごと好きになるのもよくあります。

差別に抗うわけでもなく、気にしないで旅を楽しむジェーンのおかげで、中国人という一括りにしていたものが少し薄まりました。(完全に無くならないのが人間のサガですが…)

議論好きなドイツ人コリア(ドイツ人のコリアくんに、「日本はNo future...」と言われた話)との出会いでドイツ人のイメージがいい方に変わりました。

旅で出会う人たちのおかげで、国籍や人種を悪いイメージで括りすぎないことにつながり、旅で知り合った人たちを好きになる時に、その人の国も丸ごと好きになっていけること。 これは、結構素敵なことやなと思うきっかけをくれたジェーンに感謝です。

日本の悪いイメージ…

もうとっくに、日本にはサムライがいないということは知られていますが、最近海外を旅していて聞く日本人の悪いイメージがまことしやかに存在しています。

「自殺する人が多い」

という一般的なことから、

「日本人のサラリーマンはみんな変態で、東南アジアで女の子を買う」

「アニメのアダルトビデオなんて日本にしかない。日本の男は変態」

「日本の女は白人が好き。簡単に落ちる」

「日本の女は一生、男の言いなりになって生きる」 という裏イメージは、何人かから聞きました。

うーん…。

全否定できない悲しさがあります。

そういう裏イメージを打ち消したいと思う日本人は(打ち消せない現状もある)、どんどん旅に出て「自分は違う」と否定し、自分のおもしろさ、素敵さをアピールして回るしかないのかもしれません。

草の根運動です。

 

また、旅で知り合うたった1人の人の悪い印象で、その人の国ごとイメージが悪くなるリスクもあるので、私も日本のイメージを悪くしないように振る舞いに気をつけようと思います。

補足ですが、私のブログを読んで、「ベルギー人の男はビールばっかり飲んで、ベルギー人の女はデカパンツを履く」というベルギーに変なイメージが確立されないことを祈っています。(詳しくは以下をチェック)

ということで、本題の熊野古道の話は次回に。

いつも前置きが長くなる私です。

またお付き合いください。

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