カミーノ・デ・サンティアゴについて、たくさんブログに書いているものの、どういう日々を送ってるのか?歩いたことのない人はいまいちピンとこないのでは?という懸念が浮かびましたので、こんな一日を過ごしているということを、実例を挙げてご紹介します。
カミーノ・デ・サンティアゴ巡礼については
カミーノの用語については
カミーノでの私の1日
6:00
アルベルゲで、できるだけ小さい音量のアラームで目覚めます。iPhoneのアプリにより、「うわ、昨日は6万歩かぁー」という情報を目にします。まだほとんどのペレグリーノが寝ています。お年寄り巡礼者が遠くでゴソゴソと起きて準備をしています。私は、前夜から枕元に準備した膝腰足首のサポーターと着替え、歯磨き、タオルを持って洗面所へ。暗闇の中、iPhoneの光だけを頼りに。
6:10
トイレでサポーターを巻き、着替えて顔を水洗い。歯磨きをしたら、ベッドに戻って荷造り。トラベルシーツを畳んでバックパックに直します。
6:20
アルベルゲの玄関でトレッキングシューズを履いて、ストックを持って、起きてきたメンバーに小声で「ブエンカミーノ」と言いながらアルベルゲを出発。まだ真っ暗なのでイエローアローが見つからず道を間違えがちなので、年寄りの早起きペレグリーノについていきます。歩いている人はほとんどいません。極寒で震えながら歩きます。
6:50頃
後方から日が昇るのを拝み、バックパックの横にさしたバナナやパンオショコラをかじりながら歩きます。日の出があまりにキレイだったら、ベンチに座って朝ごはんにしたり、気まぐれに。
7:30頃
「おっと、日焼け止め塗らねば」大体これくらいの時間に慌てて日焼け止めを顔に塗ります。ついでに髪の毛も手ぐしで整えます。じゃっかん暖かくなってきたので、ストールやダウンは脱いでバックパックの中に直します。
8:00頃
いい感じの町に着いた頃に、適当にバルに入って朝ごはん。コラカオとパンオショコラかボカティージョを注文。意外と朝のオレンジジュースがハマる。Wi-FiのパスワードをGETしたら、FacebookをのぞいたりYahooニュースをのぞいたりします。日本は15時なので、LINEで私が生存しているという情報を送ります。そうこうしてると、第二陣が追いついてきます。「ブエノスディアス!(おはよう)」なんて言いながら、何時に出たの?今日はどこまで歩くん?的な会話。私より1時間遅く起きた人がもう追いつくといった具合。彼らはゆっくりと1時間くらいかけて朝食をとるので、サラリーマンの牛丼屋的スピードの私は、「ほなお先に」と席を立ちます。「See you sooner!」(すぐ追いつくけどねー)と言われて、まぁねと思いながら私は8:30には再出発。あのメンバーはまだ寝てるやろな〜と思いつつ。
10:00頃
第二陣以降にどんどん、道で抜かれていきます。とにかく私は歩くのが遅い。のんびりヨロヨロ歩きますが、ヨーロピアンはガシガシ力強く歩いていきます。私を見つけては、「調子どう?」と声をかけ、抜いていきます。何人かは歩くスピードを落として1時間くらい付き合って歩いてくれます。日本のことやお互いの話を英語で話しながら。
あ、この人来たし、上着を脱ぐのを手伝ってもらおう!ちょっと荷物持って!とか、
あ、この子来たし、荷物を見といてもらって草むらでオシッコいっとこ!とか、
あ、この人来たし、手袋返しとこう!とか、
あ、この子来たし、あと何kmくらいかガイドブックチェックしてもらおう!とか。
いつものおなじみメンバーと出会いながら、関わりながら、歩いていきます。
12:00頃
朝寝坊組がいよいよ私に追いついて来ます。今朝の日の出の写真を見せてあげて、「まだ寝てたわー!」みたいな返しを楽しみつつランチタイム。
ルートによっては、森の中でフランスパンとミートボール缶詰とチーズで手作りサンドイッチを作ってもらって食べたり、延々と続くブドウ畑の端で座り込んでバルで買ったボカティージョやリンゴをかじって休憩することも。雨で冷え切った時はバルに入って、ポンチョを脱ぎ、靴下を暖炉で乾かしながらピザでも頼んで温まる。「あとどれくらい?」と仲間に聞いて、「1時間ちょっとで着くよ。君の足なら3時間かな」という丁寧な返答をもらいます。「今晩のアルベルゲはキッチンがあるから先に着いて買い物しとくし、何か作るわ!」などと言われたら「ラッキー!」てな感じで歩く元気がみなぎります。今晩の宿の町の情報を色んな人から仕入れて(私もガイドブックを持っていますが、ろくに読まない。しっかり見るのは高低差を示した地図くらい。登りが続くのか知りたい派)、ラストスパート。みんなどんどん抜いていき、2015年はブラジリアン、2016年は韓国ののび太くんと私という厳選されたメンバーだけになります。(マラソン大会でいつも最後列に位置するのが、決まっておデブさんだったのと同じく、カミーノもいつも同じメンバーが最後に到着。)
15:00頃
ヨロヨロで到着。アルベルゲの窓から、おなじみメンバーが私の名前を呼び、「ベッド、余ってるよ!」と教えてくれます。ハイシーズンだと満室になることもあるようですが、今のところ一度もなく助かっています。ほっとして、クレデンシャルを出し、スタンプをポンっと押してもらいます。30km超えるときは長くて8時間半、20km前後の時は7時間くらいで14時頃に着きます。やれやれ。
15:30
シャワータイム。ついでに着てる服を手洗いで洗濯。1年目に「ランドリーガール」というあだ名をつけられました。理由はいつ見ても洗濯をしているから。どうも欧米人は毎日洗濯しないようで、潔癖症ジャパニーズがこういうところに出てきます。
2年目は、雨の日が多く、干したら土砂降りという悲惨なことが続いたので、手洗いを毎日するのはやめて、5ユーロくらい出して時々洗濯機と乾燥機で楽をしました。
17:00
昼寝をしている人たちを横目に、私は疲れ知らずに街に繰り出します。よくやるのは、ガタガタの体の人たちと薬局探し。「ドンデスタ、ファルマシア?」という片言スペイン語で歩き回り、各々の必要な手当てグッズを買います。痛み止めクリーム、絆創膏、サポーター、のど飴。それが済んだら、教会に行ったり、有名な店を冷やかしに行ったり。さくらんぼを大量に買ってアルベルゲの庭で寝転んで食べたり。明日の朝用にリンゴやバナナ、パン、水を購入しておきます。あとお菓子もね。晩ご飯前にバルに行きビールとポテチタイム。2年目はスペイン人からスペイン語の猛特訓を受けたり。とにかくのんびり好きなようにその時の気分で過ごします。
スペインのテーピングはこんなにド派手
色んな人に、「君は昼間歩くのはあんなに遅くてしんどそうなのに、どうして夕方歩き終わってからの方が元気に歩き回るの?」と不思議がられます。確かに。昼寝もせずに、足を休ませもせずに町歩き。あ、でも、常に足のどこかが死ぬほど痛いのは確かです。階段は地獄。二段ベッドの上になった日には昇り降りにうめき声が出ます。だけど心はすこぶる元気。よく分からんもんです。
アルベルゲの庭でWi-Fiでinstagramに写真をアップしたりFacebookをチェック。アナログな感じでノートに今日の出来事を書いて過ごします。大体、覗きに来た人に日本語を見られて感心されるパターン。仕方ないので漢字を教えてあげたりします。
ビニール袋にいつでもさくらんぼ。チェリーガールとも呼ばれた…
19:00
晩ご飯。アルベルゲ併設のレストランで巡礼メニュー(コース料理が格安で食べれる)を食べたり、バルでワインとタパスを食べたり、韓国チームに米食をふるまってもらったり、イタリアーノにパスタを作ってもらったり。1人で晩ご飯は一度もなく過ごしていますね。これが楽しみで歩いているとも言えます。とにかく楽しい時間を過ごします。
Menú de peregrino
いつものメンバーと。
豚丼を作るコリアン兄貴
本当に美味しかった。カムサハムニダ〜
作れと言われてあり合わせで作ったツナミートボールスパ。チェコ人に不評。和食のイメージを汚してすみません。
21:00
サマータイムでまだまだ明るいスペインですが、明日に備えて寝る準備に入ります。ワインでほろ酔い状態の中、顔を洗って歯磨き。明日着る服を枕元に。仲間に明日の目的地を聞き、何kmあるか、登り坂はどれくらいか確認。ベッドでストレッチをし、アイマスク、耳栓でパーティータイムな若い欧米人の盛り上がる声もシャットダウンし、アラームをセットして眠りにつきます。睡眠第一をモットーに生きる私は、旅先でもカミーノでも9時間睡眠でお肌の調子を整えます。
まとめ
とまあこんな具合に日々は続きます。
普段の休日は、自堕落に、朝方まで起きてDVDを見ていたり、起きるまで(15時頃まで)寝て、一生ソファーに居れるくらいソファーで横になってテレビ。トイレで起き上がるのも面倒なくらい。ご飯は朝は食べないし、思いついた時に好きなものを食べ、寝る前にラーメン食べたり、ポテチのBIG BAGを1人で瞬殺に食べ切ったり。(こっちの生活を書いた方が受けるかもですが)普段はそんな私がカミーノに行くとこういう日々を送るという…。健康的ではありますが、「極端やな」と言われがちです。ああ、来週の今頃はそういう時間を過ごしているはず。ワクワクしています。
カミーノについては