こんにちは、あられ(@n0riarare)です。
今年も7月末にフジロックで燃え尽き、8月に入ったばかりなのに「夏が終わった」感を感じてしまっています。
なのにまだまだ暑い今日この頃。
EU旅の続きを書こうと思います。
モロッコの旅を終え、
マドリードの友人、
ベルギーの友人、
アムステルダムの友人の家へと、
後半は「会いたい人に会いに行く旅」シリーズに入ろうとしたところからです。
- タンジェ空港で直前のドタキャンメール
- マドリード空港でお誘いメール
- Japanese style?の部屋へ
- 急に疑い始める夜…
- 警戒心爆発事件
- 平和な朝のレティロ公園散歩
- 女性の1人旅につきまとう問題
タンジェ空港で直前のドタキャンメール
昨年スペインのカミーノで知り合って仲良くなったマドリード在住のフリオ(旅先で出会った人と英語で別れの挨拶)から、
「マドリードに寄るならぜひうちに泊まってほしい、おもてなしをするから」
「ホテルに泊まるより我が家はタダだしチピ(犬)もいるよ。(男のパートナーもいるけど気にせずに)」
という誘いを受けており、
「じゃあそうさせてもらおうかなー」と返事し、
「マドリード空港まで車で迎えに行くからフライト教えて」と言われていました。
モロッコ旅の充実感でいっぱいになり、
マドリード空港行きの飛行機にそろそろ乗ろうかな、
あと2時間後くらいにはフリオに会えるなーと、タンジェ空港でぼんやり考えていた時にメッセージが。
「今日はうちに泊まりなよと言ってたけど、今日が母の日って忘れてたー。
家族で母の日のパーティーがあるから今日は無理だ。
空港に迎えに行くのは現実的ではないだろう。(直訳)
ソーリー…。」
ええー! 何やそれ。
お母さん思いなのはいいけど、じゃあ母の日忘れるなよと思いつつ。
「遅れてなら行けるかも」とか曖昧なメッセージを何度かやりとりしてるうちに、 「もういいや」と思い、「またの機会に」とこちらから断り、飛行機に搭乗。
アイツはそういやいい加減なヤツだったな
そもそも会うのを決めたのも急だったしな
と思うことにし、
「マドリに着いたら適当に宿を探すか…」と諦めることにしました。
ここでもやっぱり、 身分不相応にビジネスクラスに乗ったせいでバチが当たったのかな?とまだちょっぴり思う私…。
マドリード空港でお誘いメール
マドリに到着し、さてさてどうしたものかとトボトボ歩いてると、メッセージがピロロロロン。
何やねん、フリオ、母の日のパーティー終わったんか?
と少々キレ気味でメールを見ると、1週間ほど前にグラナダのモロッコ料理屋で隣の席にいて仲良くなったスペイン人夫婦ディヴィッドとマルからでした。(【EU旅4&5日目】グラナダで出会った夫婦についてはコチラ)
「ハイ!モロッコどうだった?うまく国境越えれた?今どこかな?」
「!!」
あの2人、そういやマドリード在住だったな…。
…
「モロッコ、最高だったよ。
今、マドリードの空港に着いたんだけど泊めてくれるはずだった友達からドタキャンされて困ってるところ。
2人は今どこ?」
あわよくば…な下心をちょっぴり込めてメールを返信。
すると、案の定、優しい2人は、
「うちに泊まりなさい。部屋が余ってるから。今マドリードのレティロ公園でペットの小鳥の散歩中だから、さあ、すぐに黄色いバスに乗ってレティロ公園までおいで。一緒に晩御飯も食べよう!」
との申し出。
やったー!
話が早い!
でも迷惑じゃないかな?
一応、遠慮し始める私。
「大丈夫!うちの部屋はJapanese styleだから、気に入るはず。気に入らなければやめていいよ。ホテルを一緒に探してあげるから。」
なんて優しいお言葉!
あの2人、身なりも良かったし、モロッコ料理も結局奢ってくれたし、妻のマルは政府の何かの仕事をしてるって言ってたし、いろんな意味で大丈夫だろうと勝手に判断。
でも気を使うし、それなら安宿に泊まった方が気楽かな…。
でもでも、モロッコの国境越えのアドバイスもらった人に体験談を話したいし、面白そうだしな。
それよりも、ペットの小鳥の散歩をさせてるってどういうことなのかが気になる。
うむ、迷った時は面白そうな方にGOや。
私はレティロ公園行きの黄色いバスに飛び乗りました。
Japanese style?の部屋へ
レティロ公園でバスを降りるとディヴィッドがお出迎え。
飼ってるインコを散歩させるのが日課とのことで、お散歩を済ませたのでマルが連れて帰っているところらしい。
ディヴィッドがさっそく今夜の私の寝床へと連れて行ってくれました。
何となく私が勘違いしてたのですが、私が夫婦の住む家に泊まるのではなく、以前2人が住んでて、今空き家になっているマンションのことで、時々、甥っ子が来た時に使わせているらしい部屋らしく、レティロ公園のすぐ横にあるマンションでした。
いい感じの広いマンションでしたが、引っ越した後なので、物がほとんどなくシンプル。
「ジャーン!Japanese Style だろ!
Zen styleとも言うよね?」
と言って見せてくれたのは、エアマットレスのみの空間。
うーん。
ジャパニーズスタイルとは畳で寝るイメージのことなのかな?しかし畳でもないけど。
枕も布団も無し。
「寝袋あるし大丈夫でしょ?」と言われ、そこは何の問題もなかったのですが、
エアマットレスは腰に悪そう…とちょっと不安なことを思ってしまう嫌な私。
厚かましいったらありゃしない。
甥っ子がヘビースモーカーなのか、マットレスにも部屋にもタバコの臭いがきつく、脱いだ靴下などがあちこちに散乱。
ちょっと嫌やなぁ…。
また厚かましいったら。
そんな私の戸惑いを一切気にせず、
「いいでしょ!バックパッカーがこの部屋に泊まるとか最高でしょ!」とデヴィッドが何故かワクワクして目を輝かせている。
玄関にあるマウンテンバイクとローラースケートを見せて、
「明日の朝はさ、僕が自転車に乗るから、君がローラースケートを履いて、一緒にレティロ公園を散歩するってのはどう?最高じゃない?!」とワクワクしているデヴィッド…。
いや、アメリカの少年やないねんから。私、日本の40の腰痛持ちの女やで…。
なんだかあのキラキラした目を見たら断ることなどとてもできず、今夜のお宿はここに決めました。
急に疑い始める夜…
ディヴィッドが、
「ディナーを奢るよ。何が食べたい?」と聞くので、
「ずっとモロッコにいたからモロッコ料理以外がいい!久々のスペインだからスペイン料理がいいな。適当なバルとか」と私が答えると、 「OK!それならいい考えがあるよ。
スーパーで冷凍のピザを買って、オーブンで温めて食べるってのはどう?」と満面の笑み。
えーっと、何がOKかしら…。
聞いてた?私の意見。
ピザはイタリアンやしな。
またも厚かましい私の邪な思いが一瞬現れるも、ディヴィッドのピュアな笑顔に完敗。 「いいアイデアね!」と答えて2人でスーパーへ向かいました。
何故か会話が噛み合わない私たちは、
「疲れてるから近所のスーパーでいいよ」と言ったのに、「OK」と言ってディヴィッドは1時間半、夜のレティロ公園を散歩に連れて行ってくれるし、
「マルはいつ合流するの?会えるの楽しみだな」って言っても、ディヴィッドはマルにメールしてくれないし。
小雨が降ってきてくれたおかげでようやくレティロ公園散歩も終了となり、冷凍ピザとコーラを買って、部屋に戻ることとなりました。
ピザを買う時に、ディヴィッドが、
「マル(妻)は明日仕事が早いからもう寝たよ。
2人でピザ食べよう」と言い、
私の中の警戒心アラームが小さく鳴ったので、私は、ワインを買うのはやめてコーラにしたのでした。
夜のレティロ公園は本当に素敵だった
警戒心爆発事件
「いや、何でマル来ないの?」という思いがグルグル回り、よく知らない男性と密室で過ごすってヤバいんちゃうか?と思い始める私。
マドリードの空港で、TOKIOの山口メンバーのYahooニュースをネットでチラッと見てしまったせいか、「この人、ディヴィッドメンバーなんじゃないのか?」という不安がわいてきました。
ピザも大急ぎで口に入れ、
「眠たいなー。疲れたから休ませてほしい。ディヴィッドも早く家に帰った方がいいよ」と伝えると、
「僕の家はここさ」と笑顔。
「ここでデヴィッドも寝るの?」と聞くと
「もちろん。君の横で。ソファーがあるし、ここも僕の家だから」とのお答え。
これはマズイ!!!
急に緊急事態サイン発動。私の中の戦いが始まりました。
「あなたが一緒だと、心も体も休めることができないから1人にしてほしい。プライバシーが必要です。それが無理なら私はホテルを今から探します。」と宣言。
お前は何様や、どの立場やというのはこの際横に置いておいて、身を守ることに全力を尽くします。
「女性のゲストを泊めるときに、よく知らない男性が1人で付き添われても、それはおもてなしじゃない!comfortableなstayにならないのが分からない?!」と説教めいた発言をする私。
ディヴィッドの方に「来ておいてそれはないぜ感」は微塵もなく、
「分かったよ分かったよ。落ち着いて。
どうしてほしい?
1人でこの家に君を残すわけにもいかない、心配だから」と言ってくれ、
「玄関に近い個室にマットレスを移して、個室を使わせてもらう。
何かあったらすぐにここを出て行く。
家の鍵の開け方を教えてほしい。
そして朝まで私に近づかないことを約束してほしい。」とテキパキと偉そうにお伝え。
デヴィッドの方は「厄介な女を泊めることになったぜ感」も無く、すべて私の条件をのんでくれ、
「じゃあグッドモーニングは君が言いに来てね。僕は朝までこのソファーから一歩も動かずに寝るからね」と言う優しいディヴィッド。「シャワーでも浴びたら?」という提案に食い気味で「No need!!」とピシャリ。
今、こうやって書いてると、どちらがクレイジーか分かりきってる感じですが(圧倒的に私がクレイジーで無礼)、その時の私は一度怪しんだら止まらないので、クレイジーと思われようと身を守ろうと必死です。
警戒心マックスになっていた私は、個室のドアが開いたらすぐ気付くようにマットレスをドアに沿わせて、荷物もすぐ出ていけるようにしてセッティング。
「こういうシチュエーションで暴行されたら『自業自得』とか言われるんだろうか。よく知らない人についていった女性が悪いとか言われて。あぁ、何て軽率やったんや、私って一生後悔するんだ。いや一生がもう終わることもあり得る。いやだ!私は絶対に自分で自分の身を守る!」という考えがグルグルまわり、タバコくささもありほとんど眠れずに過ごしたのでした。
平和な朝のレティロ公園散歩
ああ、なんて平和な早朝。
私の予想を裏切り、
全くもって平和な、何も起こらない夜を終えて朝になりました。
寝不足の頭で、少し気まずい気分でグンモーニン!を言いに行くと、デヴィッドが「眠れた?」とどこまでも優しい…。
いつもそうだけど、
こうなって初めて、
「私の、人を見る目はいつだって間違ってないな!やっぱりいい人だこの人!」と思う。
あれだけ疑ってかかったにもかかわらず…。
でも、そうなんだな。
そもそも、本当に怪しいヤツの誘いは有無を言わさず断るし、連絡先だって教えないし、会いたいと思わないし会わない。
目の前で本当に残念そうに 「雨が降ってるからローラースケートは無理だね…」ってがっかりしてるデヴィッドが悪い輩なはずがなかったんだ…。
朝ごはんの前にも、雨の中、デヴィッドの庭であるレティロ公園へ散歩に付き合うことになりました。
レティロ公園内に図書館があることとか、水鳥の説明や木の幹の説明を聞きながら昨夜の振る舞いを反省、いや猛省。
雨のレティロ公園は緑が綺麗
「しーっ!
何か聞こえるだろ?何だと思う??
すごい奴に会わせてあげるよ」と言って純粋な顔して私を誘います。
本当に少年みたいやなこの人。
ついて行くとびっくり。
レティロ公園の一角にクジャクが何羽も!!
しかも放し飼い。
「ここに連れて来たかったんだ!驚いたでしょ?!」
これは確かに驚きました。
レティロ公園は初めてじゃなかったけど、こんな何羽もクジャクを放し飼いにしている一角があったとは。
クジャクとだけこんなに触れ合える場所って確かに初めてや。
ええ?!クジャクって木に登るんや!
ついつい、はしゃぐ私。
何だか昨夜からの自分の変わり身が可笑しくてついつい笑ってしまう時間。
デヴィッド、シリアルキラー扱いして、ごめんな。(想像の中でそこまで落ちていたデヴィッド…)
「いい出会いだったよ!
人をもてなすことは自分たちの喜びだから。
ありがとう!」
なんてデヴィッドに言ってもらえる資格なんか私にはないのです…。
なんていい奴なんだディヴィッド。
雨が降ったり止んだりの中、クジャクと一緒に戯れた時間はいい思い出になりました。
女性の1人旅につきまとう問題
私は時々警戒心のせいでクレイジーの域に到達する癖があります。
今回もそうです。
帰国後、日本の女友達にこのことを話すと、「そういう外国人の女性を家に泊めてあげて、惨殺する夫婦を仰天ニュースで見たことあるで」と言われ、
「次からは見ず知らずの人のとこに泊まらんとホテルに泊まりーや」と叱られました。
まあ世間にそういう事件があるのは確かです。
でも、どうなんだろう。
「見ず知らずの人」にたくさん関わって色んな楽しいことが起こるのが、私の場合、1人旅の楽しいところだったりもする。
カミーノ (スペイン巡礼のこと。詳しくはこちら)で知り合った仲間とは、毎日同じご飯を食べてお酒を飲んで、シャワーを浴びて、並んで歯を磨き、同じ部屋で寝る。
色んな話をして、短期間ですごく関係を深める特別な仲間なので、異性であっても安心して同じ部屋で寝れるし、信用できる人も多い。
今回のデヴィッドとマル夫妻は、カミーノじゃなく、モロッコ料理屋で知り合い、隣席になり1時間〜2時間程度話しただけの関係。
「見ず知らずの人」と「信用できる人」のどこで線を引くのか。
少なくともあの2人は「信用できる人たち」と思っていたし、だからこそ泊めてもらうことにしたのですが、マルが現れないことでデヴィッドだけになり、「信用できるの?」という疑念が湧いてしまったのは確か。
「見ず知らずの人」「よく知らない人」でもいい人はたくさんいるし、「よく知っていく人」になり得るし、長く付き合う「友だち」にだってなる。
仰天ニュース好きの友人の言うように見ず知らずの人に関わらないで旅をしたら安全かもしれないけどワクワクだって減る。
でも完全に安全なことなんか旅にないし。
誰だって最初は見ず知らずの人同士な訳で。
でもいくら41歳になっても、女ってことで面倒なことに巻き込まれることもあるかも知れないし。
モヤモヤモヤモヤ。
正解は分からないけど、
できるだけ気をつけて人を見ることを日頃から心がけたい。
デヴィッドのような、キラキラした目の奥にある、人の善意を信じたい。
そして、曖昧な態度を取らない。
言いたいことははっきりと言う。
特に嫌なことははっきりと伝える。
時々、大丈夫かな?と警戒心をコソッと持ち続けられるような。
それもいいバランスで。
急に警戒心を爆発させるのではなく。
今はそんな風に思っています。
クジャク、かわいかったな。
ありがとう、ごめんね、ディヴィッド。
こんな顔する人、悪人なはずがないんだ…