アラフォー女バックパッカーの無敵の旅の話

働きながら、少ない給料と有給休暇をフルに使って旅をしている勝手気ままな女の旅の話。旅で撮った写真もはさみつ

カミーノで知り合った旅人の話②〜イタリア人親子のユーリとディヴィッドのこと〜

    

出会い

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出た!全員イタリア人。そしてそこにはパスタ。

2016年のカミーノでのこと。2年目の初日のログローニョのアルベルゲで隣のベッドがイタリア人集団でした。「チャーオ!!」と愛想よくにこやかに挨拶をしてこられた時に、あぁ、昨年のカミーノもイタリア人のチャーオから始まったなと思い出しながら、ブラジル人のレイバに

前年に「イタリア人イケメンには注意するように」というGoogle先生を通してのありがたいアドバイス(大体彼女のアドバイスはくだらない)をいただいていたので、クールにチャオを決めた私。そこにお父さん的なおじさんが1人混ざっていて、あとはイケメン連中。カミーノで知り合ったんだろうなと思っていました。

親子でカミーノ

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真ん中は南アフリカ人。真剣にパスタの相談。

陽気なイタリアーノグループの中でも1人だけ冷たい顔をしたcoldplayのクリス・マーティン似がいました。首元にゴリゴリのタトゥーが入っていて、あまり近づかんとこーと思っていたのですが、ある時、私と一緒にいたスペイン人アラフォー女子に、「スザンナ!今日もいい日だった?」と仏のような笑顔でスペイン語で尋ねてたのを聞いて、ギャップにひっくり返りそうになりました。人を見かけで判断してはいけませんね。それからは私の警戒心も解けて、笑顔で挨拶を交わすようになり、そのcoldplayが「パパと2人で歩いてるんだ」と言ってきたからびっくり。そう言えば、1人だけ荷物が大きいし、おじさんの世話をしていると思ってたわ…。ひどく感心しました。パパも紹介してくれたのですが、「僕のパパ。地球一の父親だよ」てな具合で言うからびっくり。

ええ息子やんか!

パパは、空手の師範で日本文化にとても興味があるので、それ以来私とパパはめっきり仲良しになりました。

カミーノの荷物配送サービス

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ユーリとディヴィッド。一緒に回ったブルゴスの大聖堂にて

パパの方はディヴィッドといい、息子はユーリといいました。ディヴィッドは、重い荷物は毎朝、次の町の宿まで運んでもらう「トランスポルテ・デ・モチーラ」というサービスを使っていました。これは高齢の人や、楽チンに歩きたい巡礼者にオススメで、5ユーロくらいで先に車でリュックを次の町に運んでおいてくれるので、手ぶらで歩けます。朝に泊まったアルベルゲに運んで欲しい町とアルベルゲの名前を記入した札をリュックにくくりつけて、入り口に置いておくと、それをトラックで運んでくれるというシステム。

そのサービスを利用していたディヴィッドは、毎朝私に、「今日は〇〇の町の〇〇というアルベルゲ(宿)に荷物を運んでもらうから、君もそこに来るんだよ」と言ってくれるので、おのずと私の今日の目的地が決まります。そして、その通りに到着すると、大体毎日、ユーリがアルベルゲの庭で読書をしていて、私を見つけて名前を呼んで、「Hello,again!」とか「We were waiting for you.」てな洒落た言葉をかけて労ってくれます。ディヴィッドも大歓迎してくれていました。

NO PAIN,NO GLORY!

シャワーは、パパファースト、レディーセカンド、息子ラストの順番で浴びます。日本のボディーソープの泡立ちと香りの良さからいつからか、3人で私のボディーソープを使い回し。洗濯機を使う時も3人で一緒に入れて割り勘。ドラマ、カルテットで「家族じゃないけど、同じシャンプーを使って洗濯機も一緒に回してる。」と松たか子(同い年)が言ってたのを見て、この親子を思い出しました。3人のうち2人は親子で家族だけど私もカミーノの間は家族扱いしてもらってたように思います。

ある時、大雨の中、私が足を痛がりながら顔をしかめて歩いていたら、ユーリが後ろからやってきて、

「No pain,no glory!」

なんて洒落たことを言って励ましてきました。去り際には

「No rain,no glory!」

と笑ってイタリアンジョーク?をかまして去って行きました。憎いあんちきしょうです。以来、私のお気に入りの言葉になりました。ユーリは、晴れてきたら急に靴を脱いで裸足になって歩きます。

私の顔を見て

「I wanna feel the nature!」

なんて言いました。しかもキラースマイル。

全く憎いあんちきしょうだぜ。

パパはWe will rock you の前奏を口ずさんで一緒に歌ったり、私を「今日も綺麗だ!」って言ってくれたり、イタリア人は本当に明るくて粋です。

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カミーノの目的は神に感謝。父に感謝。

何で親子でカミーノを歩いてるのか、ある時ディヴィッドに尋ねました。パパは英語が苦手でイタリア語混じりに説明してくれたけど、分からなかったので、ユーリに改めて聞くことにしました。

すると、ユーリはボクサーだったけど、ある時、心臓の病気で倒れて、手術をしたけど生死をさまよったとのこと。助かった時に、ボクサーをやめることにはなったけど、無事を祈り続けてくれた親にとても感謝したし、神というか自然に感謝した。病院食の影響でビーガン(ベジタリアンの仲間)になった(パパが作るのはいつも野菜のパスタ)。退院して父が「息子を助けてくれた神に感謝したいからカミーノを歩くぞ」と誘ってきたから、即答で「一緒に行こう」と決めたとのこと。

そういう事情かぁと、心に響きました。「父親と2人で800kmも1ヶ月かけて歩く親子は日本にはいないよ」と伝えると、

「僕もそう思ってた。病気になるまでは。でも、あんなに尊敬できる父はいないから、父と毎日歩けるのが嬉しいくらい。」との返答。

お前、完璧な息子かっ!このパーフェクトヒューマンが!

と心でひれ伏しました。

後日談

無事に親子でサンティアゴまで歩き通した2人。メールで報告がありました。ゴールして号泣してる夢をよく見るとユーリが以前話していたけど、いざゴールすると涙は出なかったらしい。実際は、「イタリアに戻ったら仕事を探さなくては…」という現実が大きくのしかかってきたとのこと。ゆっくりでいいんじゃない?と返事しておいたら、

イタリアに帰国後しばらくして、ついた仕事が

サーカス団に入団!

ボクサーから何故そうなった?と思ったけど、自由でキラースマイルのユーリには、人を笑顔にさせる仕事がお似合いかもしれません。

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自宅近くのピサの斜塔前で練習するユーリ。

まだあまり上手くないけど大丈夫か心配。笑顔で乗り切れるかな。

 

www.ararechantravel.com

 

 

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