コーチンから南のコヴァーラムビーチへと向かうことにしていたのですが、手段は夢のハウスボートで一泊して、運河を南下して向かう予定でした。別名ハネムーンボートとも呼ばれる高級感ただよう大型の船です。
なんとホテル並みに寝室、シャワー、TV、エアコン、専属コック付きの船
↑この続きです。
バックウォータークルーズ!
7:40に、コーチンのエルナクラムジャンクション駅から電車に乗り、9:30にアレッピー駅に到着。アレッピーという土地にやってきました。
ここは、バックウォータークルーズを売りにした観光地。ヤシの実が茂る運河をノンビリと船で進む水郷地帯です。アレッピーからクイロンというところまで(逆もあり)船で8時間くらいのところをボートに乗るツアーが腐るほどあります。実際、腐りかけたボートがゴロゴロありました。普通の公営ボートで安く短時間乗るか、シェフを同行させて3食付きで、川辺の村を見学したり、停泊して翌朝まで船で過ごすか、色々なツアーがあるようです。
東洋のベニスと言われる場所がアジアに山ほどありますが、ここ、アレッピーもその一つ。とにかく川がたくさんあって移動手段が船の町は東洋のベニスと呼ばれがち。中国の杭州に行った時も東洋のベニスと言われていたような…。まあ、それは許すとして、ベニスらしく船を探すことにしました。南北を走る川をのんびりとハウスボードで一泊過ごすツアーを求めて観光協会へ向かいます。
旅人の味方!観光局・観光案内所。
知らない町に着いて、まず寄るところは観光案内所(通称 i)。
ヨーロッパなんかだと、地図にiのマークがあるインフォメーション。アジア、インドなら政府観光局の運営する観光協会や観光案内所。
そこでマップをもらったり、ありがちな現地ツアーの情報や値段の相場を聞いたり、安宿のある地域を聞いたりします。
インド独特の、特にデリーでの「あるある」ですが、ちゃんとした正式な政府の観光局の観光案内所のすぐ近くに、「ツーリズム オブ Government (政府)」という枕詞を掲げた観光案内所の偽物が乱立しています。これは悪徳旅行代理店で、バカ高いツアーを組ませたりします。入ってしまえば、最後。軟禁状態にされることもある恐ろしい場所。本当に要注意です!
インドにおいては、「Government」は政府という意味だけではなく、「政府のふりをしています」という意味にも使われます!
本物そっくりの看板を掲げてたりもしますから、前もって調べておく必要ありですので間違えないようにしてください。(私は偽物での軟禁状態から逃げ出して、ニューデリー駅で早朝に大声をあげてブチ切れたことがあります。フフフ。)
さて、アレッピーの観光案内所ですが、
DTPC(地域観光振興協議会)が立地的にも便利です。DTPCとはDistrict Tourism Promotion Council の略です。
DTPCからは毎日アレッピーからのバックウォータークルーズのツアーが催行されていると聞いていたので、そこで詳細やボートの全貌を聞いて比較して選ぼうと思い向かいました。
これもインド「あるある」ですが、DTPCに着いて中に入っても誰もいない…。もぬけの殻の観光案内所。ここはインド。その程度で焦ってはいけません。近くでチャイを飲んでるおっさんがいないかブラブラ探したり、「誰かー?」と聞いてみてもいないので、諦めて待つことにしました。
橋がFalling Down?!
40分くらいして、観光案内所のおじさんが戻ってきたので、「バックウォータークルーズに乗りたい」「ハウスボードに乗ってクイロンまで行きたいんやけど」と聞いてみました。
すると、
「今日はボート、出てないよ」との返答。
「毎日DTPCからクイロン行きが出てるって聞いたけど」と尋ねると、
「クイロンに向かう途中の橋が壊れて、ボートが通れないからNO!」とのこと。
「何ー?!!」
そんなことあんのか?と呆然としてしまいました。
「ハウスボードで一泊って今回の旅のメインテーマなんですけど!!」と言ったところで、おっさんには無関係。
インド「あるある」の、実は、ここも偽物の観光案内所で、クルーズは今日はやってないと嘘をついて高いツアーを勧める悪徳旅行代理店であってくれ!とすら願いました。
しかしその願いも今回は虚しく、偽物の観光案内所ではなくちゃんとした観光案内所でした。
諦めきれず、近くをうろつきボートの周りの人に尋ねてみても、答えは同じ。
橋が壊れてボートが通れない…。
『ロンドン橋落ちた、落ちた、落ちた〜』が頭に流れます。
ハウスボードに乗れないならわざわざ早起きしなかったのに。
ハウスボードに乗れないならわざわざアレッピーに来なかったのに。
ツアーじゃないから何事も自己責任です。その分なんとも言えない悔しさが湧き上がる中、仕方なく、計画変更。
「気分だけ味わいたいからその辺だけでもいいから船に乗せて!」とDTPCのおじさんにお願いすることにしました。すると、行って戻ってくる3時間のクルーズならやってると言うため、それで手を打ち、泊まれないなら高級なハウスボードじゃなくてもいいやと思い、安めのボート3時間ツアー昼食付き100ルピーに決定。
ハウスボードなら料理を作ってもらったり、ソファーや寝室、シャワーも付いていたはず…。あーあ。普通の船かあ。しかし、今夜泊まるところはどうしよう?どこに行こうか?色々な思いが浮かんで頭がごちゃごちゃになってきました。
悔しさを噛み締めつつ、残念な気分はすぐに切り替えないと、その後の旅に影響がでるので、すぐに切り替える!
これは旅で学んだ教訓です。1つの嫌なこと、上手くいかないことを引きずると、その後の旅も楽しめるものも楽しめない。旅ごと、パァにしてしまうことだってありえます。自分の旅を自分でダメにしてしまうのは情けなさすぎる。と思っていつも気持ちを立て直すようにしていると、短時間でそれができるようになり、普段の生活でも生かせるようになりつつあります。諦めも肝心。
予期せぬハプニングが起こった後ほど旅は楽しいことになる、と言い聞かせて安い小さめのボートに乗り込みました。
Nothing to do is best!
この辺をうろうろボートで3時間乗るだけのツアーの始まり。
「何もない小さめのボートで3時間、退屈しないかな?」と船のおじさんに尋ねると、
「Nothing to do is best!」とシンプルな返事。何もしないのがもったいないような気がして、何とかしてイベントを詰め込みたがりがちな「MOTTAINAI JAPAN」代表の私の悪い癖やなとハッとしました。
いかん、いかん。何にもせんとぼーっとしてみよう。
そして船は出発。おっしゃる通りの何もない景色が広がります。
バックウォータークルーズスライドショー
綺麗な青空
と思ったら雲行きが怪しくなる…いつものパターン
のどかやな〜
お洗濯中
リアルジャングルクルーズ
何もない船
ケーララの中心で愛を叫ぶ
のんびりと、ぽけーっと空っぽの頭で、風が気持ちいい!
沢木耕太郎気取りで「Breeze is nice!」と呟いてみたり。(小説「深夜特急」より)
時に照り返しで焦げそうになり、甲板を降りて中に避難しながら川辺の人々の暮らしを見たり。
「何にもしないのが1番」ってセリフ、ほんまでした。こういう時間の大切さを旅が教えてくれました。
私の知らなかったインド、南インドがなかなか好きになってきていました。
さて、どこへ行こうか…。
続く